台湾のプロロジウム、バッテリーのギガファクトリーをダンケルクに建設

(フランス、台湾)

パリ発

2023年05月18日

台湾の次世代電池メーカーのプロロジウム・テクノロジー(以下、プロロジウム)は5月12日、電気自動車(EV)用バッテリーのギガファクトリーをフランス北部オー・ド・フランス地域圏のダンケルク市に建設すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。プロロジウムにとって、国外で初めてのギガファクトリーとなる。同社は13カ国90以上の候補地を検討し、最終的に3つの有力な候補地の中からダンケルク市に工場設置を決定した。

決定の主な理由として、原子力発電所に加え、洋上風力発電所や太陽光発電所など脱炭素電力源による低炭素電力の供給が可能であること、欧州北部の自動車製造工場や国際海運ネットワークに近接していることを挙げ、欧州のOEM顧客向けに現地供給、現地生産するというプロロジウムのビジョン実現に理想的だとした。

プロロジウムは、(1)欧州での長期的拠点の設置、(2)EV用次世代バッテリーの量産、(3)EUの自動車産業のエネルギー転換支援を目的に、総額52億ユーロを投じ、48ギガワット時(GWh)のギガファクトリーと研究開発センターを設置する。2024年後半に建設開始、2026年末までに生産開始を予定している。2030年までに3,000人の直接雇用、1万2,000人の間接雇用の創出を見込む。

2006年設立のプロロジウムは、全固体電池(注)のパイロット自動化生産ラインを2017年に稼働。全個体電池の研究・開発・製造に重点を置き、消費者市場および産業用EVへ次世代バッテリーソリューションを提供するエネルギー革新企業。全固体電池は、EVの充電時間を内燃車の燃料補給にかかる時間と同レベルまで短縮できる、としている。

オー・ド・フランス地域圏では、すでにルノーと提携する中国系バッテリー製造のエンビジョンAESCのドゥエ工場、自動車大手ステランティスとフランスのトタルエナジーズが合弁で設立したバッテリー製造ACCのドゥブラン工場、ベルコールのダンケルク工場(2022年2月10日記事参照)が建設中で、プロロジウムが4つ目の工場となる。プロロジウムはダンケルク市への工場設置について、「バッテリーバレー」に設置することでエコシステムがもたらす利点を享受できるとしている。

(注)正極と負極からなる電極間で電気をやりとりするために、電解液ではなく、固体を使用する電池を指す。

(奥山直子)

(フランス、台湾)

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