ADB、ミャンマーの2023年度経済成長率を2.8%とする予測発表

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2023年05月02日

アジア開発銀行(ADB)は4月4日、「アジア経済見通し2023年4月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、報告書)の中で、ミャンマーの2023年度(注1)の経済成長率について前年度比2.8%とする予測を発表した。2022年度の2.0%を上回ったものの、継続する不安定な社会・経済情勢を反映し、新型コロナ禍前の6~7%台の成長率には及ばす、2024年度も3.2%と緩やかな成長になるとした。

産業別では、2023年度の工業分野の成長率を5.2%と予測した。電力不足、世界的な需要減など厳しいビジネス環境を反映しつつも、大規模投資・建設プロジェクトなどの再開を受けて、2023年度第1四半期に資本財の輸入が増えたことについても言及した。サービス分野については観光業、通信業などの改善を受けて3.0%とした。農業については、肥料など投入資材の価格低下、中国との国境での貿易取引再開などを背景に輸出が改善しており、1.5%とした。ただし、地方での国軍と民主派勢力の武装組織などとの戦闘状況の悪化が農産物の生産を制約する可能性もあると指摘した。

インフレ率については、現地通貨チャット下落率の減速、エネルギー価格の低下を受けて、2023年度は10.5%、2024年度は8.2%と予測した。なお、ADBの推計によると2022年度のインフレ率は16.0%だった

貧困率が5年で倍増、国民の約半数が貧困状態に

ADBは報告書の中で、国民の就業機会が減少し、貧困率(注2)が2022年に46.3%と2017年の24.8%からほぼ倍増し、民主化前の2005年の水準に達しようとしているとした。ミャンマーでは貧困層の間で食料不足の問題などが生じており、国民の3人に1人にあたる約1,760万人が人道的な支援を必要としているという国連の推計結果についても触れ、人々を貧困のリスクから救うため持続的な社会援助プログラムが必要だと指摘した。

(注1)同報告書での年度は10月~翌9月を指す。

(注2)国連開発計画(UNDP)が2021年11月に発表した「Impact of the twin crises on human welfare in MyanmarPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、ミャンマーで1日1.17ドル以下で暮らす人の割合は、2022年46.3%(予測)、2017年24.8%となっている。

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