ジェトロ、ハノーバーメッセでデジタルプラットフォームJapan Streetを使って産業分野のバイヤー誘致

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年05月10日

世界最大級の産業技術の専門展示会「ハノーバーメッセ」が202341721日、ドイツ・ニーダーザクセン州ハノーバー市で開催された。前回(2022年)はオンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催だったが(202278地域分析レポート参照)、今回はリアルがより重視された。オートメーション、モーション、デジタル、水素や燃料電池を含むエネルギー関連、産業用部品・部材、真空、圧縮機、イントラロジスティクスなどの技術が展示された。世界中から4,000社が出展し、来場者数は前回より55,000人増の13万人だった。

主催者ドイツ・メッセのヨッヘン・ケックラー最高経営責任者(CEO)は「カーボンニュートラル、人工知能(AI)、水素、エネルギーマネジメント、インダストリー4.0は世界の産業にとって包括的なテーマだ。これらの技術を織り込んでいくことで、気候変動の緩和を追求しながら繁栄を続けることができる」と、会期前に声明を発表した。また、インダストリー4.0の次のステップとして、他の産業や他国のバリューチェーンと製造ネットワークをつなげるイニシアチブ「マニュファクチャリングX」も注目を集めた。

今回のパートナー国はインドネシアが務め、150以上のインドネシア企業や団体、スタートアップが出展し、プレゼンスを発揮した。

ドイツ・メッセ関係者によると、日本からは44社・団体が出展した。今回、ジェトロは産業用部材・部品分野のホール3で世界中のバイヤーに対して、日本国内の中小企業とデジタルでつながることができるオンラインプラットフォーム「Japan Street」のPRのため、ブースを出展した。Japan Streetのスクリーン上では産業用部材・部品分野や、ものづくりで知られる大田区の特集ページを紹介した。

ジェトロブースには、現地のスタートアップを含むドイツ企業のほか、インドネシアやインドのバイヤーが数多く訪れ、Japan Streetに新規登録した。同時にハノーバーメッセに視察で訪れていた日本の中小企業からも、Japan Streetの活用について相談があった。会期後も、欧州のバイヤーから実際にJapan Streetを活用した上で、具体的な商談やサンプルについての問い合わせがあった。

また、ジェトロブースでは、オープンイノベーションで日本企業と海外企業の連携を呼び掛ける「J-Bridge」の取り組みも紹介し、日本企業および海外のスタートアップからも相談が寄せられた。

写真 世界中のバイヤーがJapan Streetに関心(ジェトロ撮影)

世界中のバイヤーがJapan Streetに関心(ジェトロ撮影)

419日には、ジェトロはホール2の貿易投資ステージでJapan Streetを中心に、日本の中小企業の現状とサプライチェーン連携、オープンイノベーションを来場者に紹介するイベントを主催した(動画はジェトロYouTubeチャンネルで視聴可能外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

Japan Street事業のパートナー企業Presentの光行透氏が、日本の中小企業の現状とJapan Street登録のメリットを述べた後、Japan Streetに登録している日本の中小企業を代表して、高石工業(大阪府)代表取締役の高石秀之氏が、水素ステーション向けのゴムパッキンを紹介するとともにハノーバーメッセに出展し続ける意義や効果を説明した。また、長野県ブースに出展した英幸テクノ取締役・技術担当の安川朋昭氏は、第5世代移動通信システム(5G)や6Gなど高周波帯電波の建物に対する反射を解決する技術「NamiGate」、ナカムラマジック営業課係長の関智昭氏は超小型・薄型・軽量のヒートシンクの技術などを紹介した。

写真 Japan Streetの産業分野での可能性をPR(ジェトロ撮影)

Japan Streetの産業分野での可能性をPR(ジェトロ撮影)

ジェトロからは、和爾俊樹ジェトロ・ベルリン事務所長が、最近の日独経済協力の動向やドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)と立ち上げた地球規模の課題解決を目指す「日独イノベーション・イニシアチブ160」について述べ、ドイツを始めとする欧州や世界の企業に対してJapan Streetを通じて日本企業と組むチャンスが訪れていることを強調した。GTAIからも機械・エレクトロニクス担当のマリー・クリスティン・メンケ氏が登壇し、ドイツの機械分野の最新動向を日本企業向けに紹介した。

(小菅宏幸、川崎宏希)

(ドイツ、日本)

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