アルゼンチン中銀が中国人民銀行との通貨スワップ協定を更新

(アルゼンチン、中国)

ブエノスアイレス発

2023年06月15日

アルゼンチン中央銀行(BCRA)は6月2日、中国人民銀行(中央銀行)と締結していた通貨スワップ協定を前倒しして更新したと発表した。スワップ協定の期限は3年間。

両行は、2009年に最初の通貨スワップ協定を締結し、その後、更新や内容の見直しを数度行ってきた。今回更新されたのは、2020年8月に締結された3年間の通貨スワップ協定で、2023年8月をその期限としていた。2023年1月8日付のBCRAの発表によると、更新前の協定では、外貨準備強化に向けて1,300億元(約183億ドル)、外国為替取引向けに350億元(約49億ドル)が設定されていた。今回のBCRAの発表によると、外貨準備強化に向けた1,300億元は金額に変更なく期限が更新され、外国為替取引向けの350億元についてはさらに追加で設定する手続きが開始されており、現行の協定で設定された枠を使い切った後、双方の合意により運用を開始するとされている。

なお、6月3日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)は、5月下旬から6月初旬にかけて中国を訪問したセルヒオ・マッサ経済相の通貨スワップ協定の更新に関する発言を伝えており、それによると、通貨スワップは貿易代金の決済だけでなく、BCRAによるあらゆる種類の為替介入に使用することができる。

5月17日付の現地紙「クラリン」(電子版)は、2023年4月の通貨スワップ協定の発動から5月中旬までの間に約17億ドル相当の人民元建ての輸入許可が下りたと報じている。通貨スワップ協定の更新と拡大が外貨の節約に果たす役割は小さくないとみられる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、中国)

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