英政府、新たな途上国向け関税制度を6月19日から導入

(英国、アフリカ、アジア、オセアニア、米州)

ロンドン発

2023年06月09日

英国政府は5月26日、開発途上国の産品を輸入する際により低い関税率を適用する、一般特恵関税制度(GSP)に代わる開発途上国貿易制度(DCTS)を2023年6月19日から導入することを発表した。同制度については、2022年8月に政策文書が発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされており、その概要が示されていた(2022年8月18日記事参照)。

適用対象国は、現在GSPが適用されている67カ国からベトナム、サモアを除いた65カ国。概要は次のとおり(注1)。

〇包括特恵関税(現、後発開発途上国枠組み):武器以外の全て(EBA)につき関税ゼロ、無枠。

〇拡張特恵関税(現、拡張枠組み):対象国(注2)は対象品目につき関税ゼロ、無枠。一部品目の季節関税も撤廃。

〇標準特恵関税(現、一般枠組み):インド、インドネシアが対象。季節関税を簡素化するとともに、現在2%未満の品目については関税を撤廃。

対象国が人権や労働者の権利を重大かつ組織的に侵害した場合など、国際条約に関連して問題を起こした場合はDCTSの適用停止や税率変更を行うとしている。

標準特恵関税対象国については、英国の総輸入額に占める割合が一定値を超えた品目につき、DCTSの対象から除外する品目別卒業が適用される(詳細は適用法令参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

そのほか、英国の生産者に重大な影響を与える、もしくは与える恐れがある場合や、ダンピング、国家補助、輸入増加、農産品の価格変動、国際紛争などの場合、セーフガード措置や追加関税が適用される可能性があるとしている。

(注1)GSPからの税率変更については英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注2)発効時の対象国は、アルジェリア、ボリビア、カーボベルデ共和国、コンゴ共和国、クック諸島、キルギス、ミクロネシア、モンゴル、ナイジェリア、ニウエ、パキスタン、フィリピン、スリランカ、シリア、タジキスタン、ウズベキスタン。

(山田恭之)

(英国、アフリカ、アジア、オセアニア、米州)

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