エコシステムランキング、南アがアフリカ首位

(アフリカ、南アフリカ共和国、モーリシャス、ケニア、ナイジェリア、エジプト)

ナイロビ発

2023年06月20日

調査会社スタートアップブリンクは5月30日、世界のスタートアップ・エコシステム・ランキング「Global Startup Ecosystem Index 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。アフリカからは上位50カ国にはどの国も入らなかったが、南アフリカ共和国がアフリカトップとなる53位、続いてモーリシャス(61位)、ケニア(62位)、ナイジェリア(64位)、エジプト(67位)となった。

南アは前年から4つ順位を落として上位50カ国入りを逃した。民間セクター主導の活気あるエコシステムを有するものの、汚職やインフラの不足がエコシステムの発展を遅らせ、潜在的な起業家を他国に流出させているとの評価だ。ケープタウンはエドテック分野で67位、ヨハネスブルクはフィンテック分野で88位に入っている。

続くモーリシャスは前年から10位順位を上げ、ケニア、ナイジェリア、エジプトを抜いて、アフリカ2位となった。小さいながら健全なエコシステムで、起業しやすく発展したインフラを備えているものの、人口が小さく人材確保が課題との評価だった。

ケニアは前年と同じ62位だったが、都市別ではナイロビが順位を大きく上げて137位に入った。特にモバイル決済を活用したイノベーションのテックハブとして先進的な地位を占め、英語圏アフリカの核となっていると評価。また、ナイロビはエネルギー・環境分野で51位に入った。

ナイジェリアは前年から3つ順位を落として64位だったが、都市別ではラゴスがアフリカ唯一のトップ100に入り、82位だった。ラゴスはフィンテック分野でも世界38位に入った。巨大な消費市場と旺盛な起業家精神を背景に、フラッターウェーブやオーペイ(2021年8月27日記事参照)などユニコーンを輩出したアフリカの主導的なハブと評価する一方で、ファイナンスの選択肢の不足や購買力の低さ、ラゴスとその他都市の断絶などが課題として挙げられた。

エジプトは前年から順位を2つ落として67位だったが、都市別ではカイロが大きく順位を伸ばし、124位だった。カイロはフードテック分野で50位に入った。エジプトは市場の大きさや、起業家や外国企業の人材へのアクセスのしやすさなどを背景に、北アフリカで最も優れたエコシステムを有し、2023年2月にはマイクロファイナンスを手掛けるMNTハラン(MNT-Halan)がユニコーンとなった。一方で、継続的なエコシステムの成長には公的セクターが官僚主義や規制の撤廃に取り組み続けることが必要と評価している。

(佐藤丈治)

(アフリカ、南アフリカ共和国、モーリシャス、ケニア、ナイジェリア、エジプト)

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