政策金利を6カ月連続で7.75%に据え置き、インフレ目標の達成は2023年末の見通し

(ペルー)

リマ発

2023年06月15日

ペルー中央準備銀行(BCR)は6月8日、金融政策決定会合で政策金利を5月と同様7.75%に据え置くと発表した。BCRは、1月まで継続してきた政策金利の引き上げサイクルが終わったわけではないとし、今後のインフレ状況が経済へ与える影響などに鑑みた上で、引き続き調整を行って行くことを示唆し、調整余地を残している。今回の決定については、次を考慮したと説明している。

  1. 5月の月間インフレ率は0.32%。食料とエネルギーコストを除くと0.08%を記録。直近12カ月間の累計インフレ率は4月の7.97%から5月には7.89%に低下した。一方で、食料とエネルギーコストを除いた12カ月間累計インフレ率も、4月の5.66%から5月には5.11%に低下少したが、いずれも依然として政府目標値(1~3%)を上回っている。
  2. 2021年後半から続いている顕著な原油や食料価格の高騰に加えて、2022年からの国際紛争などによる影響が、世界的に過去数年間において類を見ない、かつ先進国や中南米地域の中銀目標インフレ率を大きく上回る規模でのインフレ率の上昇をもたらした。ペルーの場合は、一部の食品の供給不足(注)により一過性のインフレ上昇が記録された。
  3. インフレ率はこの先数カ月の間に低下傾向が見込まれ、前年比で政府目標値(1~3%)内に収まるのは、食料や燃料価格の高騰の緩和、社会争議がもたらした農産業分野における需給ショックの回復およびインフレ予想が減少に転じる2023年末になる見通し。
  4. 今後12カ月の累計インフレ率の見通しは4月の4.25%から5月には4.21%に低下し、政府目標値(1~3%)の上限を上回る。
  5. 5月の経済評価指標や見通し指標の多くが前月比で好転したが、依然として悲観的見通しが継続している。
  6. 国際経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にあるが、引き続き先進国における政策金利のさらなる引き上げ見通しや国際紛争などの影響によるグローバルリスクの可能性が残されている。

BCR理事会では、引き続きインフレ率、その見通しや経済動向などを注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2023年7月13日の開催を予定している。

(注)インフレ率への貢献度が高い外食食品価格の高騰(0.7%増)のほか、トマト価格が作付面積の減少と肥料不足による品質低下や豪雨被害、気温変化などで生産量が減少したため37.2%増、魚類も異常波浪による港の一時閉鎖などによる漁獲量の減少で11.9%増となり、タマネギ(17.1%増)やレタス(20.7%増)などの野菜類も作付面積の減少や豪雨被害などでいずれも生産量が減少している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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