ウズベキスタンがロシアから天然ガス購入へ

(ウズベキスタン、ロシア、カザフスタン)

タシケント発

2023年06月26日

ロシアのガスプロムは6月16日、同社子会社ガスプロム・エクスポルトとウズベキスタンのウズガストレード(注)との間で、ウズベキスタンへの2年間のロシア産ガス供給に関する協定を締結したと発表した。2023年10月1日から開始する予定の天然ガス供給量は1日900万立方メートル、年間28億立方メートルとされている(Gazeta.uz 6月19日)。

ウズベキスタンでは、経済成長と国内産天然ガス産出量の減少に伴い、2022年から2023年の冬季には深刻な天然ガス・電力不足が発生しており(2023年2月2日記事参照)、ロシア産天然ガスによって、冬のピーク時に最大日量2,000万立方メートルと言われる国内産天然ガスの不足を補う予定。

契約はウズベキスタンのジュラベック・ミルザマフムドフ・エネルギー相とガスプロムのアレクセイ・ミレル会長が調印した。調印式にはウズベキスタン政府のジャムシド・ホジャエフ副首相も同席した。合意には天然ガス受け入れに関するウズベキスタンのパイプライン輸送設備更新に関する行程表も含まれている。

1960年代以降、中央アジア(主としてカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン)を経由するガスパイプラインは、ロシア方面へ天然ガスを輸送することを目的として建設された。ウズベキスタンのエネルギー省は、ロシアからウズベキスタンへの天然ガス輸送の流れを逆転させるため、ガス検針所の新設やガスポンプ装置・機器の交換・修理、22キロメートルのパイプライン新規建設と56キロの既存パイプラインの修理が必要と発表している。

ガスプロムは同じく6月16日、カザフスタンのカザフガス(注2)との間で、カザフスタンを経由するウズベキスタン向け天然ガスの輸送契約を締結した(カザフスタン・エネルギー省ウェブサイト6月23日)。一方、カザフスタンのエネルギー省関係者は6月5日、カザフスタン国内でのウズベキスタン向け天然ガス輸送体制が整う時期は2024年秋冬とも発言しており(「ウズデーリー」6月5日)、計画どおり2023年内にガス輸送が開始されるか注目される。

ウズベキスタンは2010年代に中国との間で年間100億立方メートルの天然ガス輸出契約を締結しているが、英国石油大手BPの統計によると、中国向けガス輸出量は過去4年間で年49億立方メートルを超えていない。当面、エネルギー需要が増える冬季には中国向け輸出を停止し、ロシア産天然ガスで国内の不足分を埋めるかたちになることが想定される。

写真 ウズベキスタンでロシア向けガス輸送管の大部分の管理を行うウルゲンチトランスガス本社(ホレズム州ウルゲンチ、ジェトロ撮影)

ウズベキスタンでロシア向けガス輸送管の大部分の管理を行うウルゲンチトランスガス本社(ホレズム州ウルゲンチ、ジェトロ撮影)

(注1)ウズベキスタンで天然ガスの国内生産者からの購入と外国企業からの輸入を行う国営会社。

(注2)カザフスタンの主要ガスパイプラインやガス配給網などのガス輸送インフラを運営する国営会社。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン、ロシア、カザフスタン)

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