米ウエストウォーター、日本のダイネンマテリアルと黒鉛供給に関する基本合意書を締結

(米国、日本)

アトランタ発

2023年06月14日

鉱物資源の探鉱・開発事業を展開する米国企業のウエストウォーター・リソーシズは6月7日、日本のダイネンマテリアルとの間で、被覆精製球状黒鉛(Coated Spherical Purified Graphite、CSPG)の供給と購入に関する基本合意書を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

黒鉛は電気自動車(EV)に使用する電池の材料で、銅、ニッケル、マンガン、コバルト、リチウムを上回る質量最大の原材料だ。中国が生産量で高いシェアを誇る。ダイネンはEV用リチウムイオン電池を日本の大手メーカーに、高性能の天然黒鉛負極材を供給している。ウエストウォーターは今後、アラバマ州中東部に建設中のケリートン黒鉛処理工場から、ダイネンにCSPGを供給する予定だ。

ウエストウォーターのテレンス・クライアン会長は「インフレ削減法(IRA)が成立し、黒鉛のような電池の重要材料の国内調達に対する経済的インセンティブが与えられたことで、電池業界の大手企業が当社の事業に強い関心を示している」と述べた。ダイネンの奥井一執行役員は「われわれはウエストウォーターのCSPGの初期テストに勇気づけられた。日本の自動車メーカーとの材料認定をサポートすることを楽しみにしている」と述べた。

また、ウエストウォーターは5月9日には、韓国のEV用バッテリー大手のSKオンと共同開発契約を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。開発が成功すると、両社はアラバマ州ケリートン黒鉛処理工場で製造されるCSPG負極材販売に関する契約交渉に入る見込み。 クライアン会長は、SKオンとの共同開発契約を発表した際、「IRAの成立後、多くの電池メーカーが当社のケリートン工場から北米の負極材を確保しようとしている」と述べていた。なお、IRAによる顧客需要の高まりに対応するため、ウエストウォーターは工場の生産能力の倍増を決定している(インベスターオブザーバー5月15日)。

(吉田祥子)

(米国、日本)

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