インド政府、修正奨励策で半導体製造の新規募集を再開

(インド)

アーメダバード発

2023年06月05日

インド政府電子・IT省は2021年12月から、インドにおける半導体およびディスプレイ製造のエコシステム開発のため、7,600億ルピー(1兆2,920億円、1ルピー=約1.7円)規模の予算を投入し「セミコン・インディア・プログラム」を立ち上げ、インド国内での半導体製造エコシステムの構築を目指している。同省は2023年5月31日、新たな通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、6月1日から「修正インド半導体プログラム」の下で、新規案件を募集開始することになった。

今回の修正プログラムでの新規募集は、化合物半導体、シリコン・フォトニクス、センサー、単機能半導体、およびATMP(注1)、OSAT(注2)施設など、インドに半導体関連製造工場(成熟ノードを含むあらゆるノード)や、特定技術によるディスプレイ工場を設立する案件が対象となっている。内容は、同対象分野の企業、コンソーシアム、合弁企業向けに、プロジェクト費用の50%の財政的インセンティブを提供するもの。旧スキームで申請した申請者は、提案内容に適切な修正を加えた上で、新たに申請することが可能だ。

申請期限は2024年12月までとなっている。プログラムの指定中核機関である「インド半導体ミッション」が申請窓口となり、同ポータルサイトからのオンライン申請にて受け付ける。これと関連して、半導体デザイン分野に係る「デザイン・リンク・インセンティブ(Design Linked Incentive Scheme:DLI、注3)」による案件募集があり、同申請期限も2024年12月までとなっている。DLIスキームでは、現在までに26件の申請があり、そのうち5件の申請が承認されている。

複数の地元メディアによると、インド初の半導体製造事業で注目を集めているベダンタ-フォクスコン合弁企業は現在、政府からのインセンティブを得るための承認プロセスにある(2022年10月20日2023年5月29日2023年5月30日記事参照)。しかし、中央政府が求める製造技術面で要件を満たしておらず、申請を却下される見込み、と報道されており、このような事情が今回の新規募集の背景にあるのでは、と推測されている(「ビジネス・スタンダード」紙、「インディア・ブリーフィング」紙5月31日)。

(注1)ATMP:組み立て、テスト、マーキング、パッケージング

(注2)前工程の「ファンドリー」に対して、後工程である組み立てやテスト作業などの分野で大量生産型のラインを構築し、生産効率を高め、複数社の顧客から仕事を請け負う企業。

(注3)集積回路(IC)、半導体セット、システムオンチップ(SoC)、システム&IPコア、半導体関連設計の開発・展開の各段階において、5年間にわたり、金銭的インセンティブと設計インフラのサポートを提供する。条件を満たす半導体設計や半導体関連設計に従事する国内企業、新興企業、中堅中小企業に対して、財政的なインセンティブと設計インフラ支援を行う。

(古川毅彦)

(インド)

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