日系宇宙開発スタートアップのギタイ、3,000万ドルの資金調達に成功

(米国、日本)

米州課

2023年06月05日

日系宇宙開発スタートアップのギタイ(GITAI)は524日、米国での事業・技術開発を加速・拡大するに必要な3,000万ドルの資金調達(シリーズB延長ラウンド、注1)を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この資金調達には、これまでのステージでも投資してきた電源開発や、今回初めて投資する三菱UFJキャピタルなど計9つの投資ファンドが第三者割当増資に参画した。資金の用途は、(1)同社の月面ロボットローバーと月面インチワーム型ロボットアームの技術成熟度(TRL)の向上、(2)米国でのエンジニアリングモデルとフライトモデル製造施設の拡大、(3)米国での雇用拡大の3つとしている。

今回の資金調達に関し、ギタイの創業者兼最高経営責任者(CEO)の中ノ瀬翔氏は「米国での事業をさらに拡大することができ、大変うれしく思っている。スペースXやブルーオリジンが宇宙への輸送コストを100分の1にする一方で、当社は人件費を100分の1にすることに挑戦している。月や火星で最も多くの労働力を提供し、ソーラーパネルや通信アンテナ、燃料発電機、居住モジュールなどのインフラを構築していく」と述べた。

同社は急増する宇宙開発分野の作業需要に対して、ロボットで安全かつ正確に作業できるようにすることで、宇宙飛行士の負担軽減や、宇宙空間での作業の工期短縮と費用削減に挑戦している。同社は2016年に設立され、J-startup(注2)に認定されているほか、201812月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究契約を、20193月には衛星通信事業会社スカパーJSATと覚書を締結した。また、2022年には日米イノベーションアワードで、イノベーション・ショーケース企業に選出されている(2022年8月1日記事参照)。

(注1)投資家が企業に投資する段階で、シードステージから今後の成長が見込まれる段階の最初の本格的投資ラウンドを「シリーズA」とし、追加出資の都度「B」「C」とアルファベット順で表現される。

(注2)日本のイノベーション政策の一環として、2018年に経済産業省主導で立ち上げられたスタートアップ企業の育成支援プログラム。経済産業省、ジェトロ、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局を務めている。詳しくは、J-Startupオフィシャルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(谷本皓哉)

(米国、日本)

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