新税法が施行、租税総局が変更点を解説
(カンボジア)
プノンペン発
2023年06月19日
カンボジアで新税法が5月16日付で公布され、翌17日に施行となった。今回の税法改正では、所得税の適用範囲に協会や政党などが加わったほか、投資適格案件(QIP、注1)企業が国内から原材料を調達した際の付加価値税(VAT)の免除、会社の譲渡や合併などの際に過去の税債務を引き継ぐなどの規定が新たに設けられた。また、法令で定められた税務手続きを怠った場合の罰則強化なども盛り込まれた。
カンボジア租税総局(GDT)は新法について広く周知を行うため、5月25日にフェイスブックライブで説明会を開催した。GDTのブン・ニアリー副局長によると、各種法令に定める事務手続きなどの必要事項に違反した場合、旧法では1件当たり200万リエル(約6万8,000円、1リエル=約0.034円)の罰金が科されていたが、新法では500万~1,000万リエルに増額された。ただし、罰金を科す条件として、GDTが事前に文書による警告を2回発出することが新たに定められた。
また、企業がGDT職員の汚職を指摘した際の対応として、これまでは当事者間での調整となっていたが、新法では汚職防止ユニット(ACU、注2)が当該事案の調査を行うと明記し、汚職撲滅に向けた取り組みになると説明した。
新法は、既存の税務関連法と一部の政令(Sub-Decree)、省令(Prakas)を1つに統合し、近年新たに制定された投資法や労働関連の政令や省令など、各関連法の改定に合わせて再構成された。これにより、現行の「1997年税法」と「2003年改訂法」は廃止された。ただし、旧税法に付属して運用されていた政令、省令は今後改正が予定されており、それまでの間は引き続き有効となる。なお、公共照明税、印紙税、キャピタルゲイン税に係る政令なども改正作業中で、近日施行する見込みだと明らかにした。
(注1)QIPとは、適格投資プロジェクト(Qualified Investment Project)の略称。カンボジアの投資優遇制度で、投資許可は投資家または投資企業に発給されるのではなく、投資プロジェクトに対して発給される。投資許可を得たプロジェクトは適格投資プロジェクトと呼ばれ、優遇措置が自動的に付与される。
(注2)汚職防止ユニット(Anti-Corruption Unit:ACU)は、汚職を防止するため、通報などにより汚職が指摘された事案を調査する国の機関。
(トー・タイ)
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