米NY州・市がカナダの山火事への対処法などを発表、航空便にも影響

(米国、カナダ)

ニューヨーク発

2023年06月09日

米国ニューヨーク(NY)州環境保全局(DEC)のバジル・セゴス長官と保健局(DOH)のジェームズ・マクドナルド長官は68日、同月5日に発表した、大気汚染が引き起こす健康リスクに関する警告を更新し、9日も引き続き注意をするよう注意喚起をした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

NY州内の大気汚染の悪化は、カナダのケベック州での山火事に伴い発生した微小粒子状物質(PM2.5)によるもので、かつ通常時でも街の大気汚染の約6割が自動車により、もたらされていることから、DECは、この状況をさらに悪化させないために公共交通機関の利用を促している。また、扇風機を使って空気を循環させるといった取り組みも推奨している。

写真 マスクを着用する人が目立つマンハッタンの様子(ジェトロ撮影)

マスクを着用する人が目立つマンハッタンの様子(ジェトロ撮影)

NY州のキャシー・ホークル知事(民主党)は6月7日、市民に無料で配布するN95マスクを100万枚用意するとし、グランドセントラル駅など主要な駅などで入手可能にするとした。同州は先週、山火事の鎮静化を支援するため、コネティカット州、ニューハンプシャー州、メイン州と協力して、森林消防隊員をカナダに派遣している。

NY市のエリック・アダムス市長は同日にブリーフィングを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、6日夜10時に、市内一部の地域で大気質指数(注)が218を記録したと述べ、市内でレベルが200を超えるのは前代未聞だと語った。市保健・精神衛生局のアシュイン・バサン局長は、同ブリーフィングの中で、市民に対してなるべく屋内にとどまるよう注意を促し、外出の際のマスク着用を推奨したほか、特に高齢者と子供は注意が必要と述べた。また、同局長は「今回は、NY市に1960年代以来最悪の大気汚染をもたらしている」とした。アダムス市長は「気候変動は、われわれが直面する状況の再考を迫ることになる」と述べ、市危機管理局のザカリー・イスコル局長は「大気汚染に何度も対処してきたカリフォルニア州と連絡を取っている」とした。

米国連邦航空局(FAA)は7日、山火事により視界が悪くなっているため、ラガーディア国際空港とニューアーク・リバティ国際空港での発着を一時停止または遅らせた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同局は8日には、ワシントン特別区、フィラデルフィア、シャーロット着の便にも規制をかけている。最新情報についてはFAAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注)大気浄化法に基づき、米国環境保護庁が規制している5つの汚染物質の濃度を基準に決定される、大気汚染の程度を示す指標。100を超えると健康に害がみられ、200を超えると極めて健康に悪いとされる。

(吉田奈津絵)

(米国、カナダ)

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