メルコスール首脳会合、EUメルコスールFTAの先行き見通せず

(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール)

ブエノスアイレス発

2023年07月11日

アルゼンチン・ミシオネス州プエルト・イグアスで7月4日、第62回メルコスール首脳会合が開催された。加盟各国の首脳が演説し、EUメルコスール自由貿易協定(FTA)や、ベネズエラの人権問題、メルコスールの通商交渉体制の柔軟化などに話題が及んだ。今回を経てメルコスール議長国はアルゼンチンからブラジルに移った。

EUメルコスールFTAでは、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領がメルコスール加盟国は2019年に合意した協定内容について批判的と述べた。また、交渉の停滞はEUの食品産業の保護主義的な姿勢の結果とした。加えて、EUがメルコスールに提示した環境分野のサイドレターは、環境、経済、社会の3つの側面を持つ持続可能性のうち、環境についてのみ過度に焦点を当てていると批判。EUの提案は、協定の有無にかかわらず、環境問題に関する一方的な措置から身を守るメカニズムを導入する好機と述べた。それでも、EUとの協定はメルコスールにとって新たなバリューチェーンや新技術、雇用の創出につながるものとして評価した。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、EUとのFTAはメルコスールの次期議長国ブラジルの優先事項の1つとしたが、EUが提示しているサイドレターについて「私はEUとの協定の締結に全力を尽くしているが、それはバランスの取れたものでなければならず、生産的な統合と再工業化を促進する公共政策の採択に必要なスペースを確保するものでなければならない。EUが2023年3月に提示したサイドレターは受け入れられない。戦略的パートナーは不信感や制裁の脅威に基づいて交渉することはない」と述べた。また、メルコスールが交渉中のカナダ、韓国、シンガポールとのFTA交渉を前進させるとともに、中国やインドネシア、ベトナム、中米・カリブ諸国との新たな交渉の糸口を今後探りたいとも述べた。

EUメルコスールFTAは2019年に妥結したが、現時点でもまだ署名には至っていない。EUはアマゾンでの違法森林伐採などを懸念し、FTA推進に消極的と報じられていた。他方で、欧州の19の産業団体は7月4日、EUメルコスールFTAの早期締結を要請する共同書簡をEUに提出している(2023年7月10日記事参照)。

(西澤裕介)

(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール)

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