日本語能力試験応募者が10万人超え、日本での就労に高い関心

(ミャンマー)

調査部アジア大洋州課

2023年07月18日

国際交流基金ヤンゴン日本文化センターによると、7月2日に実施された日本語能力試験(JLPT)のミャンマーの応募者数が10万人を超えた。過去に1カ国で10万人超の応募者がいたのは中国以外になく、ミャンマーは史上2番目に10万人を超えた国となった。

ミャンマーは2021年2月の国軍による権力掌握以降、非常事態宣言が継続し、経済が低迷している。雇用情勢が悪化したことで、国外での就労を検討する人が増加している。日本の場合は、就労条件の1つとして日本語能力試験合格が求められる場合が多いため、応募者数が増加した大きな要因だ。ミャンマーを専門とする政策研究大学院大学の工藤年博教授は「国軍の権力掌握以降、ミャンマーでは多くの高校や大学の教員が辞職したこともあり、高等教育を受けられない若者が急増している。雇用状況も悪化し、職場で技術を習得する機会も減っている。このままでは教育・訓練を受けなかった若者世代が誕生してしまう。このような苦境に立つミャンマーの若者を日本に留学・研修・就労などさまざまなかたちで受け入れ、人材育成を図ることは将来のミャンマーの発展にとって重要だ。もちろん、人不足の日本にとってもありがたい。国軍は関与しない分野で、日本企業・学校としても受け入れやすいのではないか」と話す。

ミャンマーの人材紹介に関わる関係者によると、日本経済が新型コロナウイルスによる低迷から回復に向かうにつれて、日本各地からミャンマーの技能実習生の紹介要請が増えているという。日本に派遣するために必要な日本語能力を身に着ける語学学校の設立も増加傾向にある。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

ビジネス短信 1d05cf88c57ee741