ステンレス鋼板など輸出入での商品情報識別番号(NICO)を細分化

(メキシコ)

メキシコ発

2023年07月03日

メキシコ経済省は6月30日、2022年8月22日付官報で公布された商品情報識別番号(NICO)と同新旧対照表(注1)を公示する経済省令の改正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。NICOは、2020年末に導入されたメキシコのHSコード9~10桁目で、輸出入統計の拡充に用いられる。なお、関税率や非関税規制の適用は、HSコード上8桁単位で判断される(2020年11月19日記事参照)。

2022年6月27日付官報で公布されたNICOの新設と変更に関する方法論を定める経済省令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの第5条は、連邦政府機関や民間事業者がNICOの新設や変更を申請できると定めている。そして同第6条は、経済省が3月と9月に、それぞれ前年の7~12月、同年の1~6月の申請を審査することを定めている。今回の変更では、53品目のNICOを新設するとともに、72類(鉄鋼)の注釈を変更、61類(ニット衣類)および62類(ニット以外の衣類)の注釈を2つ追加した。これらの変更は、2022年9月の190件と2023年3月の7件の審査結果を基に、輸出振興政策や貿易救済政策の策定などに必要となる貿易統計の充実のために不可欠とみられている。

従来は細分化されていなかった18品目が合計53品目に細分化されるが、主な品目としては、生理用品、衣類、ステンレス鋼板、ファン・扇風機などが挙げられる。この中で、日本企業にも関連する品目としてはステンレス鋼板があり、メキシコ側の通関統計によると、2022年は日本から3万1,154トン、1億1,927万ドルの輸入が記録されている。

関税率や非関税規制への対応に影響なし

メキシコの関税率はHSコードの上8桁単位で定められており、非関税規制も原則として同8桁単位で対象品目を定めている。よってNICOの変更は、関税率や非関税規制への対応には影響を及ぼさない。輸出入申告時にNICOを誤って入力した場合の罰則についても、一部の限られた事例(注2)を除けば、税関法上で明確に定められていない。ただし、国税庁(SAT)が行う通関分野の税務調査を受けた場合、不正確な情報申告と判断される可能性はゼロではないため、正しいNICOで申告を行っておく方が無難だ。

(注1)2022年末にHSコードのバージョンが2017年版から2022年版に変更になったため、それに対応するかたちでNICOも大きく変更された。貿易事業者の利便性の観点から、HSコードやNICOの大幅な変更があった場合は、同時に新旧対照表が公布されることが多い。

(注2)中古車、繊維製品、履物など確定輸入時に推定価格の対象となっている商品を輸入する際、輸入申告時にNICOを誤って入力することで本来必要となる保証金の入金証明の提出が省略されてしまう場合、同誤入力が当局の調査で発覚すると、輸入業者や通関士の電子通関システムの利用が差し止めになる罰則が存在する(税関法第184-C条)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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