オヨーンエルデネ首相が訪中、通貨スワップ協定の延長などに合意

(モンゴル、中国)

北京発

2023年07月06日

モンゴルのロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相はサマーダボス会議に出席のため、6月26日~7月1日に中国を訪問した。

同首相は6月28日、中国の李強首相と公式会談を行った。両首相は、モンゴルと中国の全面的戦略パートナーシップと互恵的協力関係を拡大し、長年議論されてきたプロジェクトを2023年内に解決するよう努力し、協力を拡大することで一致した。上記プロジェクトには、ガシューンスハイト~ガンツモド、シベーフレン~セヘ、ビチグト~ズーンハタブチ間の各国境税関を鉄道で接続するプロジェクト(2023年7月6日記事参照)、エルデネブレン水力発電所建設に対する融資協定、チョイバルサン石炭火力発電所拡張に関する融資契約の延長が含まれる。また、モンゴル銀行(中央銀行)と中国人民銀行(中央銀行)間のスワップ協定(注1)の延長についても合意した。

首相会談の後、両国政府は都市計画や科学技術、グリーン開発、道路交通、国有企業などで協力することで合意し、下記の文書に署名した。

  • 国際トラック輸送に関する政府間協定
  • モンゴルのマザーライ(注2)保護分野の技術支援プロジェクト実施に関する追加協定
  • 国営・国有企業間の交流と協力拡大に関する覚書
  • モンゴルから中国への洗浄済み羊毛・カシミア輸出の獣医学的、衛生的要件に関する税関当局間議定書
  • モンゴルから中国への食肉用羊・ヤギの輸出時の検査・検疫・獣医学的健康要件に関する税関当局間議定書
  • モンゴル証券取引所と上海証券取引所間の協力に関する覚書

また、6月27日にオヨーンエルデネ首相は中国の習近平国家主席を表敬訪問したほか、29日にはモンゴル商工会議所(MNCCI)と中国国際貿易促進委員会(CCPIT)が共催するモンゴル・中国貿易経済協力フォーラムに出席し、スピーチを行った。

(注1)2011年5月にモンゴル銀行と中国人民銀行との間でスワップ協定が締結され、これまで3年ごとの延長を経て、2023年7月23日に期限を迎える。今回の合意で4回目の延長となる。2011年当初の限度額は50億元(約1,000億円、1元=約20円)だったが、2012年3月に100億元、2014年8月には150億元に拡大された。2016年の改定で適用金利をSHIBOR+1.5%としている。2023年第1四半期(1~3月)末時点でのスワップ協定による債務残高(速報値)は約120億元。

(注2)マザーライとは、モンゴルのゴビ砂漠に生息する野生の熊で、ゴビヒグマとも呼ばれる。国際自然保護連合 (IUCN)のレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されており、中でも最も絶滅の恐れが強い「深刻な危機」にある野生生物に分類されている。

(藤井一範)

(モンゴル、中国)

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