保険オムニバス法が可決、外国人医療従事者の国内活動を広く容認へ

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年07月24日

インドネシア国会は7月11日、保険オムニバス法を可決した。主要な改正項目として外国人医療従事者の活動や、保険予算の配分が注目されていたが、今般国会を通過し、その改正の概要が明らかになった。

経済特区以外で外国人医療従事者の医療行為が可能に

BBCインドネシアによると、保健オムニバス法案第233条から241条において外国人医療従事者の医療行為が可能とされた。具体的な要件は法案(現時点で未発表)を確認する必要がある。

4月20日に発出された健康保険法2009年第36号の改正案に関するFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、改正案について、「外国人医療・保健従事者がインドネシアで診療を行う場合は能力評価を受ける必要があり、能力検査の結果が有能であれば、医療行為に従事できる。また医療行為の従事のためには医療サービス施設の方針に従わなければならず、医療行為に従事するにあたってはSTR(登録証)とSIP(免許証)を取得しなければならない(法案第233条)。また、外国人医療・保健従事者は、a. 利用者からのニーズがあり、b. 技術移転の枠内で、c. 一定の期間において、保健施設での診療が可能(第236条)と記載していた(2023年5月10日付記事参照)。

また、保健予算の歳出下限が廃止された。改正案の段階においては、中央政府の保健予算額を5%から10%へ引き上げる旨の条文があったことから、歳出予算の増加が見込まれていたが、最終的にはこの割り当て自体がなくなった。

従来の法令(177条)で、保健予算は、中央政府の保健予算額(APBN)は給与を除く国家歳入・歳出予算の最低5%、2.州地域政府および地区・市地域政府の保健予算(APBD)は給与を除く地域歳入歳出予算の少なくとも10%、の割り当てで構成されると規定されていた。

これについて、保健省はこれまでの「義務的支出」から「成果主義的支出」に予算計画を変更したと説明している(保健省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。またこの決定は、「義務的支出の規模や金額は、アウトプットの質を決定するものではない」という考えに基づいているとし、ブディ・グナディ・サディキン保健相は「医療費が最も高い国は米国だが、米国の平均寿命は80歳だ。一方で、日本やシンガポールを見ると、これらの国の平均寿命はアメリカよりも高い。つまり、支出額や規模が結果の質を決めるわけではない」とも述べている(7月11日付Liputan)。

本法案については、国内の医療者団体などから改正に反発も起きている。具体的な運用は省令で定めるとされていることから、本法案ならびに関連省令の発出が待たれる。

(中村一平)

(インドネシア)

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