GJ州政府、迅速な対応で米マイクロンと覚書を締結

(インド)

アーメダバード発

2023年07月10日

インド・グジャラート(GJ)州の州庁舎において628日、ブペンドラ・パテル州首相とアシュウィニ・バイシュナウ連邦政府電子・ITMeITY)相の立ち会いの下、GJ州政府と米国半導体大手マイクロンが、アーメダバード近郊のサナンドII工業団地における半導体組み立て・テスト工場設立に関する覚書を締結した(628GJ州政府広報)。

写真 覚書に調印するGJ州政府・ネラ科学技術省次官(左)およびマイクロンのシン上級副社長(右、ジェトロ撮影)

覚書に調印するGJ州政府・ネラ科学技術省次官(左)およびマイクロンのシン上級副社長(右、ジェトロ撮影)

同工場設立は、6月のナレンドラ・モディ首相訪米時に公表されたが(2023年6月26日記事参照)、州政府はその後1週間という異例の速さで覚書締結式を開催したことになる。また、州政府はマイクロンに対し、サナンドII工業団地の用地をわずか6日で割り当てたことなど、柔軟な対応についても明らかにしており、同社への期待度の高さと、州政府の情報発信の巧みさがうかがえる。

マイクロンのグルシャラン・シン上級副社長は「通常、何年もかかる事前承認制度(APA、注)が、GJ州ではわずか5カ月で承認された」と、同州でのビジネスのしやすさを称賛した。また、このプロジェクトを通じ、インド学術機関と連携して半導体分野の専門人材の育成を行うとともに、半導体製造エコシステムを持続的に発展させるため、ベンダーやパートナーを結集することを約束した。そして、サナンド工場は世界最大規模、最先端の設備を備えるものとなると語った。

バイシュナウ電子・IT相は、インドでの半導体製造は技術力、グリーンエネルギー、廉価な人材の3つが強みだと述べた。また、今後6~7年の間に、100万人の専門人材の育成が必要なため、既に国内104の大学と8万人のエンジニアを育成することで合意しており、インドでは先進国と比較しほぼ半分のコストで半導体が製造できると説明した。

パテル州首相は、この案件はモディ首相の米国訪問の成功を実現化したものと述べた。GJ州は独自の半導体政策(2022年10月12日地域・分析レポート参照)の下、これまで新規投資の誘致に取り組んできた。発展の模範州である同州は、インド発展の原動力であり、今回インド初の半導体の生産が開始されることは、州民の誇りだ、と述べた。マイクロンの事案は、今後5,000人以上の直接雇用と1万5,000人以上の間接雇用の機会を創出し、同州の技術開発を加速させるだろうと強調した。

(注)事前に納税者(企業)と税務当局間で、独立企業間価格、または独立企業間価格の算定方法を対象となる国際取引に対して事前に合意すること。

(古川毅彦、サンチット・オザ)

(インド)

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