高度外国人材採用の実務を解説、浜松商工会議所

(日本)

浜松発

2023年07月19日

浜松商工会議所は74日、中小企業にもできる高度外国人材採用の実務に関するセミナーと、実践に向けたワークショップを開催した。インバウンド対応や海外営業、人手不足の解決手段として高度外国人材に対するニーズが高まっている中で、人材採用に向けた取り組み方が分からない会社もあるためだ。同イベントは、ジェトロ、eコモンズ(浜松外国人材定着サポート有限責任事業組合)が共催した。

写真 講義の様子(ジェトロ撮影)

講義の様子(ジェトロ撮影)

セミナーでは、講師のジェトロ高度外国人材スペシャリストの高梨洋一氏が、採用に必要な考え方や整理すべき項目を解説し、その後にワークショップも実施された。主なセミナーのポイントは次のとおり。

最初に、求める人物像を明確にする必要がある。その方法として、ハード面とソフト面から検討するとよい。ハード面とは、「大学で学んだ専門分野」や「資格」としては何が求められるかということだ。一方、ソフト面とは、「コンピテンシー(対人スキルなど)・志向・基礎能力」のことを指す。ソフト面の基準を検討するに、自社で優秀とされる人材の特徴を明確にすることが有効だ。採用面接では、その特徴に当てはまる人物か、事実やエピソードをヒアリングするとよい。ハード面、ソフト面から検討したことは「採用条件」ということになるが、採用市場における相場観も踏まえ、修正を繰り返しながら、最適な条件に作り上げていくとよいだろう。

次に、求人票が必要となる。その作成にあたっては、分かりやすい表現や言葉を使い、応募者が気になるだろう情報を記載する。例えば、配属部署の役割、担当業務、裁量、1日の流れなどだ。待遇面では、残業代の有無、社宅や家賃補助に加え、勤務地の家賃相場を含めるとよい。さらに、日本企業の採用プロセスは他国と比較して長いと思われているため、採用スケジュールやプロセスも重要な情報となる。

最後に、応募者に提示するキャリアパスを明確にしておくことも重要だ。業務内容の難易度や役職別などに求める能力と得られる能力を明確にし、さらに国籍によるキャリアの天井がないことを提示するとよい。応募者は就職後の自身の成長が想像でき、定着にもつながるだろう。

写真 講師と意見交換しながら議論を深める様子(ジェトロ撮影)

講師と意見交換しながら議論を深める様子(ジェトロ撮影)

同イベントの最後に、eコモンズ(浜松外国人材定着サポート有限責任事業組合)は、8月2日に浜松市で開催される外国人留学生JOBマッチングフェア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、同イベントで学んだことを生かせる機会として紹介した。また、ジェトロ名古屋貿易情報センターの石黒コーディネーターは、高度外国人材活躍推進事業として、外国人材活躍支援パッケージ(伴走型支援)や合同企業説明会、育成・定着講習会などジェトロのサービスを体系的に解説した。

(田辺知樹)

(日本)

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