カナダ政府・オンタリオ州政府、ステランティスのバッテリー工場再編に最大150億Cドル補助へ

(カナダ)

トロント発

2023年07月10日

カナダ政府とオンタリオ州政府は7月6日、ステランティスとLGエナジー・ソリューションズ(LGES)が計画する電気自動車(EV)用バッテリー工場の再編に、条件付きで最大150億カナダ・ドル(約1兆6,050億円、Cドル、1Cドル=約107円)の補助金を提供すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダ政府が3分の2、オンタリオ州政府が残りを負担する。

ステランティスは2022年5月に、EV生産に向けてオンタリオ州の工場を再編すると発表した(2022年5月10日記事参照)。しかし、フォルクスワーゲン(VW)のEV電池工場建設に対する政府補助金の支出額(2023年4月24日記事参照)を巡り、同社が同等の支援を受けられなければ、工場建設を白紙撤回する恐れがあると報道されており、政府と交渉を進めていたとみられる。

政府補助金は、米国のインフレ削減法(IRA)に対抗するかたちで設定されており、IRAによる補助金が減額または取り消された場合は、同様の対応がとられる。このほか、両政府が課している主な条件は次のとおり。

  • 両政府は、VWのバッテリーセル製造工場に対する政府補助金支出の際に締結した協定の条件に沿って、ステランティスが製造・販売するバッテリーに対してのみ補助金を支給する。
  • ステランティスは、オンタリオ州ブランプトンの工場での生産義務など、カナダとオンタリオ州における既存のコミットメントを維持する。
  • ステランティスは、オンタリオ州ウィンザーに研究開発施設を設立するなど、カナダ、オンタリオ州への投資を拡大する。
  • 連邦政府はステランティスに対し、1キロワット時(kWh)当たり最大45米ドル(バッテリーセルは1kWh35米ドル、バッテリーモジュールは1kWh10米ドル)の補助金を支給する。上限は150億Cドル。

ステランティスは政府発表前日の7月5日、カナダ政府の支援額は明らかにしなかったが、同社とLGESの合弁会社のネクストスターが同政府との契約に署名し、2024年の生産開始を目指して工場建設を再開することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。工場の年間生産能力は45ギガワット時(GWh)を超え、約2,500人が新規に雇用されると見込まれている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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