香港国際旅行展(ITE 2023)、入境制限撤廃後では初の開催

(香港)

香港発

2023年07月05日

香港国際旅行展(ITE 2023)が6月15~18日、香港コンベンションセンターで開催された。同展示会は、香港で毎年開催(注)されている、旅行をテーマにした唯一の大規模展示会で、今回で37回目となる。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)による渡航制限の全面的な撤廃後では初の開催で、会場面積(前年比約2.5倍の1万4,000平方メートル)、出展者数(約4.7倍の499社・団体)ともに、前年から規模を拡大した。

主催者によると、業界関係者向けの展示期間である6月15日から16日午前までは、旅行代理店やメディア関係者など、前年比約2.2倍となる5,932人が来場し、出展者と商談やインタビューを行う姿が見られた。6月16日午後からは一般来場者向けに開放され、会期中には前年の約8割増の5万5,925人が来場した。

パビリオンには、中国本土、台湾、韓国などアジア・オセアニア諸国・地域を中心とする各企業・団体が出展した。日本からは、茨城県・栃木県(合同出展)や兵庫県、熊本県、宮崎県など香港に事務所を置く地方自治体などが出展し、出展企業・自治体は前年比約8割増の25ブースとなった。出展者は、パンフレットやノベルティグッズの配布、動画の放映などで各地域の観光情報をPRした。また、会場には3つのステージが設置され、出展者の講演に加えて、ダンスや楽器演奏によるパフォーマンスが行われた。

日本は、香港市民の間で最も人気のある旅行先の1つだ。日本政府観光局(JNTO)によると、新型コロナ流行前の2019年には、年間約229万人の香港旅行客が訪日していたが、新型コロナ感染対策に伴う入境制限により、日本への香港旅行客数は大きく減少した。なお、JNTOによると、2023年5月の香港訪日客数は15万4400人と、2019年同月の8割程度の水準まで回復したという。日本旅行の人気の高さを証明するように、本展示会の日系企業・団体のブースも多くの来場者でにぎわい、ノベルティグッズの配布開始には、それを目当てとする来訪者の長蛇の列ができた。ステージでの講演でも同様に立ち見客も出るなど、日本旅行に対する関心の高さがうかがえた。

また、前年は来場者から「いつ日本へ旅行できるようになるか」という質問が多く寄せられたが、今回は「夏に日本旅行を計画しているがどこがおすすめか」など、訪日旅行関するより具体的な質問が寄せられ、訪日旅行客の回復を実感させるものとなった。香港市民に限らず、中国本土からの来場者が多く見られたのも前年とは異なる点で、香港における展示会が本来の様相を取り戻してきていることがうかがえた。

写真 日系企業・団体のブースが集まるエリアの様子(ジェトロ撮影)

日系企業・団体のブースが集まるエリアの様子(ジェトロ撮影)

写真 自治体ブースでご当地キャラクターがコラボした時の様子(ジェトロ撮影)

自治体ブースでご当地キャラクターがコラボした時の様子(ジェトロ撮影)

(注)2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により開催中止となった。

(横田覚)

(香港)

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