第2四半期GDP、民間投資の不振で2期連続マイナス成長に

(ペルー)

リマ発

2023年08月28日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は8月23日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前年同期比マイナス0.5%と発表した。第1四半期(1~3月)に続いて2期連続でのマイナスとなった(2023年6月1日記事参照)。INEIによると、マイナス成長の背景には、主に総固定資本形成の後退(前年同期比5.6%減)による内需の縮小(同3.9%減)があるという。一方で、消費は、民間消費(0.4%増)と政府消費(3.9%増)の回復によって下支えされ、全体で前年同期比0.9%成長した(添付資料表1参照)。

第2四半期の内需の後退は、主に前年同期比で6.7%減少した建設分野や機械設備投資の減少(3.7%減)などによる民間投資の縮小(前年同期比8.0%減)などに起因している。特に鉱業部門の投資は前年同期比で20.4%減少しており、インフラ投資(25.5%減)、選鉱設備(22.1%減)、探鉱投資(12.4%減)、開発準備(6.3%減)、鉱業設備(2.5%減)などがいずれも縮小した。炭化水素部門でも、国営石油会社PERUPETROによると、開発(15.1%減)と探査(25.2%減)のいずれの投資も減少しており、全体でも14.9%縮小している。一方で、公共投資は中央政府を中心とした教育や文化施設のほか、官公庁施設などの建設により2.0%成長している。

財貨・サービスの輸出分野では、前期から大きく回復し前年同期比で9.9%成長した。輸出が伸びた品目では、主に鉛(55.8%増)、銅(36.8%増)、亜鉛(15.0%増)、金(3.4%増)などの鉱物資源のほか、アボカド(29.9%増)や加工魚介類(25.4%増)などの農水産物資源が挙げられる。仕向け先別では、中国(全体の37.8%)、米国(11.5%)、インド(4.4%)、カナダ(4.1%)、韓国(4.1%)の5カ国が上位を占めた。反対に財貨・サービスの輸入では、前年同期比で2.2%減少したが、一般機械類(13.7%増)、トラックやバス(8.7%増)、産業機械(6.7%増)、原油(6.2%増)、自動車(4.7%増)などは増加した。

経済活動別(添付資料表2参照)では、エルニーニョ現象による影響で、漁業と養殖漁業が前年同期比で60.0%減、農畜産業が5.7%減といずれも大きく縮小している。特に漁業分野ではカタクチイワシの第1期漁の遅延と漁獲枠の縮小が大きく影響している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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