2023年上半期の貿易赤字は前年同期比18.7%増

(トルコ、ロシア、ウクライナ、アラブ首長国連邦、EU)

イスタンブール発

2023年08月15日

トルコ統計機構(TUIK)(7月28日付、暫定値外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年上半期(1~6月)の輸出は前年同期比1.9%減の1,233億4,100万ドル、輸入は4.1%増の1,845億7,600万ドルで、輸入超過により貿易赤字は18.7%増の612億3,500万ドルとなった。6月単月では、輸出は犠牲祭休暇の影響もあり、前年同月比10.5%減の209億400万ドルだった。輸入も、鉱物性燃料が46.4%減となり、全体では17.5%減の260億6,400万ドルで、貿易赤字は37.3%減の51億6,000万ドルとなった。

2023年上半期の輸出を品目別にみると、最大の輸出品目である自動車・同部品が前年同期比16.4%増となり、次いで一般機械(15.6%増)と電気機器(14.7%増)も好調だった。一方、需要の低迷が続く鉄鋼が51.0%減で最大のマイナス寄与となった(添付資料表1参照)。

国・地域別の輸出では、輸出額全体の42.1%を占めるEU向けは前年同期比2.6%減と低迷し、国別で首位のドイツも0.8%増にとどまった。2位以下を輸出額順にみると、米国(14.4%減)、イタリア(6.7%減)、英国(7.5%減)など主要国は軒並みマイナスだった。他方、欧米の制裁対象国となっているロシア向けが倍増しており、最大の寄与度となった。トルコ政府は、ロシアへの制裁対象品の再輸出禁止措置を実施しているとされるが(「Nordic Monitor」7月5日)、輸出減にはつながっていないことがうかがえる。ウクライナ向けも85.7%増と伸びており、トルコ政府の仲介外交が輸出に影響している。また、関係拡大が進んでいるアラブ首長国連邦(UAE)への輸出は、貴金属を主力に23.0%増だった(添付資料表2参照)。

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目の鉱物性燃料は、石油・ガス価格が前年同期に比べて下降したため、前年同期比24.7%減となった。他方、金を主体とする貴金属類は約2.8倍と急伸が続いており、政府は国内需要の抑制に向けて、金・貴金属の輸入に20%の追加財政義務(注)を課すことを決定した(2023年8月11日発効PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。そのほかでは、自動車・同部品(81.7%増)、一般機械(23.7%増)、電気機器(36.9%増)などが好調だった(添付資料表3参照)。

国・地域別の輸入では、金の強い需要を受け、スイスからの輸入が前年同期比で約4倍の増加、UAEからも貴金属を中心に2.5倍と急伸した。また、中国からが10.7%増と好調だった。EUからは、ドイツ(16.9%増)、フランス(29.8%増)を中心に13.4%増となった。国別で最大の輸入元は、前年同期と同様に、天然ガスを主力とするロシアだったが、輸入額は10.8%減となった(添付資料表4参照)。

(注)EUおよびFTA締結国以外で生産された対象品目の輸入に対する課徴金。

(中島敏博)

(トルコ、ロシア、ウクライナ、アラブ首長国連邦、EU)

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