米テスラ、マハーラーシュトラ州プネにオフィスを設置

(インド)

ムンバイ発

2023年08月15日

米国の電気自動車(EV)大手テスラが、インド西部マハーラーシュトラ州プネに、インド初となる事務所を設置することが明らかになった(「インディア・トゥデイ」紙8月3日)。 プネ市一帯は、地場・外資などの自動車産業の一大集積地だ。

テスラは、これまでインド国外で生産したEVの輸入販売を目指し、輸入関税の引き下げを求めインド政府と交渉を行っていた。しかし、国内製造業振興のため「メーク・イン・インディア」政策を掲げるインド政府は、テスラに対しても例外なく国内生産を強く要求したため、テスラは2022年に輸入販売計画を断念した、と報じられていた。一方で、国内生産に向けた交渉は続いており、2023年6月20日には、訪米中のモディ首相とイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がニューヨークで会談していた。

インドでは政府がEVシフトを推進する中、EVの生産台数が伸びており、2022年度(2022年4月~2023年3月)のEV四輪車の生産台数は、前年度比2.42倍の4万7,977台だった(2023年5月10日記事参照)。国内市場では、地場大手のタタ・モーターズが8割以上のEV四輪車シェアを持ち、ムンバイ市内でも頻繁に同社製のEVを見かける。配車サービス大手のウーバーは、タタ製EVを2万5,000台調達する予定で、6月からデリー、ムンバイ、ベンガルールの3都市を皮切りに、ウーバー・グリーンとしてEV限定サービスを開始した(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月24日)。外資系企業では、韓国や中国の自動車メーカーがEV販売に力を入れ始めているが、テスラは現在のところ正式販売されておらず、テスラ用の公共充電設備も存在しない。

8月8日には、インド出身のバイブハブ・タネジャ氏のテスラ最高財務責任者(CFO)への就任が発表されたことも影響し、インド国内では、今後のテスラの国内生産の動向とそれに伴うEV市場の変化にさらに注目が集まっている。

(丸山春花)

(インド)

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