総選挙に際し、頻発する政治集会やデモに注意を

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年08月01日

バングラデシュでは2023年末から2024年頭にかけて、総選挙が予定されている。同国では5年に1度、総選挙が実施され、前回は2018年12月30日に実施された(2019年1月18日付地域・分析レポート参照)。

前回の選挙では、野党のバングラデシュ民族主義党(BNP)が選挙管理内閣の設置を求めたが実現せず、同党は公正な選挙が保証されていないという理由で選挙に参加しなかったことから、現政権のアワミ連盟が圧倒的な議席を獲得する結果となった。次回予定される選挙についても、BNPは既存の政党に属さない選挙管理内閣下での選挙を求めているが、現政権がどのように対応するかが注目されている。

この状況を受けて、EUは選挙調査ミッション(EOM)を2023年7月にバングラデシュへ派遣し、アワミ連盟のオバイドゥル・カデール幹事長とも面談している。また、米国の民主主義・人権担当国務次官もバングラデシュを訪問し、次期選挙に関してハシナ首相と意見交換を実施したと報じている(「デイリー・スター」紙7月14日)。

7月以降、ダッカをはじめ全国で与野党ともに政治集会が頻繁に開催されている。7月29日にBNPが実施した政治集会では、警察とBNPの参加者の間で衝突が発生し、負傷者が出る事態となった。これに続くかたちで、7月31日にはBNPによる全国規模の集会にまで発展している。

今後、選挙が開催される年末にかけて、与野党を問わず政治集会やゼネストが頻発することが予想されるため、現地報道や外務省の「たびレジ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」、在バングラデシュ日本大使館からの安全情報などから最新情報を入手することが重要だ。また、勤務地や外出先付近で政治集会やデモが開催される際には、在宅勤務に切り替える、予定変更をするなどの対応も大切だ。さらに、駐在員や出張者が危険に遭遇した際には、すぐにその場を離れるなど徹底した安全対策を取る必要がある。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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