外国人低熟練労働者向け就労パス発給対象を一部拡大、人材不足に対応

(シンガポール)

シンガポール発

2023年08月17日

シンガポール人材省は91日から、外国人低熟練労働者向け就労査証「ワーク・パミット(WP)」の発給対象となる労働者の国籍と職種を、一部職種に限定して拡大する。国内での人材採用や自動化が困難な製造業やサービス分野のホテルの客室係など一部職種で、低熟練の外国人労働者の採用拡大を認める方針だ。

同国では、外国人の職種、給与と学歴、経験などに応じて、幹部・専門職種向けに「エンプロイメント・パス(EP)」、中技能向けに「Sパス」、工場や建設労働者などの低熟練向けにWPを発給している。サービスと製造業の両分野のWP保持者の国籍は原則として、マレーシア、中国本土、香港、マカオ、韓国、台湾と規定している。

人材省の発表(815日)によると、(1)インド料理レストランの調理師(注1)、(2)(ホテルの)客室係、(3)ポーター(ホテル宿泊客の荷物を運ぶ担当)、(4)食品加工(注2)、(5)板金製造、(6)溶接・ガス切断、(7)金属成形・金型製造、(8)ケーブル接続・装着、(9)構造物用金属設置・準備の9職種に限定して、同6カ国・地域以外の「非従来国籍者(Non-traditional sources)」のWP取得を認める。同省は今回、同9職種のWP発給を認める非従来の国籍を、バングラデシュ、インド、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイの6カ国としている。

ただし、同9職種で働く非従来の6カ国からのWP保持者は、全従業員の8%までと人数に上限が課せられている。また、月給は2,000シンガポール・ドル(約214,000円、Sドル、1Sドル=約107円)以上の支給が義務付けられる。さらに、それぞれのWPに記載された職種以外の従事は認められない。

人材省は今後、非従来国籍者のWP取得が認められる職種リストについて、業界関係者と協議しながら定期的に見直す方針。

(注1)インド料理レストランの事業者が、インドやバングラデシュなど非従来国籍の調理師のWPを申請する際には、申請前に関係業界や政府代表からなる専門パネルが申請者の審査を受ける必要がある。

(注2)食品加工現場の監督者や、試食、品質管理、菓子製造など、その他飲食業事業者は含まれない。詳細は人材省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 fdd8a526146b7a10