グローバル起業大国実現へ、「スタートアップコリア」総合対策を発表

(韓国)

ソウル発

2023年09月13日

韓国政府は8月30日、韓国におけるスタートアップ政策の方向性や重要戦略を示す「スタートアップコリア」総合対策を発表した。「スタートアップコリア」では、ベンチャー・スタートアップ企業が、韓国の経済成長をリードしていくと位置付けている。韓国経済は、国内経済成長の鈍化により不確実性が高まり、少子高齢化やデジタル転換などが加速している。このような状況下で、大手企業中心の経済から、ベンチャー・スタートアップ企業の役割が拡大し、成長エンジンのパラダイムシフトが起きていると背景を説明した。

「スタートアップコリア」を通じて、ベンチャー・スタートアップ企業がデジタル経済をリードするグローバル起業大国を実現するというビジョンを掲げ、「世界のユニコーン企業(注1)トップ100入り」など、6つの中核目標を掲げている(添付資料表1参照)。

これらを達成するために5つの戦略を発表した(添付資料表2参照)。投資や地方での起業支援のほか、これまで支援対象を韓国人による韓国内での起業に限定していたものを、韓国人による海外での起業や外国人による国内起業まで拡大したことが特徴的だ。一定の条件の下で設立された海外法人であれば(注2)、韓国政府による支援を受けられる。具体的には、海外のベンチャーキャピタル(VC)から資金を調達し、立ち上げた海外法人を対象とした支援プログラムの提供や、海外進出専用ファンドの新規運用などを計画している。

8月31日の電子新聞(ETNEWS)によれば、中小ベンチャー企業部の李永(イ・ヨン)長官は「世界のユニコーン企業トップ100に、現在Kスタートアップは1企業のみノミネートされているが、今後は5企業まで増やす。また、ベンチャー投資拡大などを通じて起業・ベンチャーエコシステムの順位を引き上げ、韓国をアジアでは1位、世界では3大起業大国まで成長させる」と述べている。

(注1)時価総額10億ドル以上の非上場企業。

(注2)一定の条件の例として、韓国人が立ち上げた海外法人と韓国国内スタートアップが支配・従属関係にある(株主であること、または経営決定権限を有する)場合や、本社は海外にあるが、国内経済に貢献(R&D機関や製造施設が国内にある、かつ雇用や付加価値を創出する)している場合を挙げている。

(橋爪直輝)

(韓国)

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