燃料不足の解消に伴い、給油上限を撤廃

(スリランカ)

コロンボ発

2023年09月06日

スリランカのカンチャナ・ウィジェセカラ電力・エネルギー相は9月1日、燃料の配給システム「ナショナル・フュール・パス(National Fuel Pass)」を廃止すると発表し、即日発効した。同国では燃料不足により、2022年8月以降1週間に給油可能な量が制限されていたが、燃料の供給量の安定化に伴い、給油上限に関する規制が撤廃されることになる。

今回の廃止措置について、ウィジェセカラ電力・エネルギー相は、原油の備蓄量や市場の需給、ガソリンスタンド事業者の新規参入や外貨準備高などを考慮し、当面十分な燃料が確保できると判断されたためと説明している。ガソリンスタンド事業者は従来、国営企業のセイロン・ペトロリウム(CPC)と、インド石油公社(IOC)傘下のランカ・アイオーシー(LIOC)の2社のみだったが、8月末から中国のシノペック(Sinopec)がガソリンスタンドの運営を開始している。今後、オーストラリアのユナイテッド・ペトロリウム(United Petroleum Pty)、シェルとの協力による米国のアールエム・パークス(RM Parks)も、営業を開始予定だ。

ナショナル・フュール・パスは、燃料不足が深刻化した2022年8月に、燃料流通の管理を目的として導入されたシステムで、利用者はQRコードの読み取りにより、電力・エネルギー省が定めた1週間当たりの上限までの給油が可能だった。システム導入以前は、外貨不足による原油輸入の減少に伴い、国内での燃料の流通が限られる中、ガソリンスタンドでの給油を求めて利用者が長蛇の列をなすなど、適切な燃料の配分が課題となっていた。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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