アフリカ気候サミット、EVやグリーン水素などのプロジェクトを発表

(ケニア、アフリカ)

ナイロビ発

2023年09月25日

ケニアの首都ナイロビで9月4~6日に開催されたアフリカ気候サミット(2023年9月25日記事参照)では、各国政府・企業、国際機関のさまざまな取り組みが紹介された。主催したアフリカ連合(AU)によると、会期中に発表された支援額は260億ドルにのぼったという。

最も注目されたのは電気自動車(EV)で、ウィリアム・ルト大統領が大統領官邸からサミット会場まで移動し、小型のEVに乗って会場に登場したことが現地メディアで多数報道された。ルト大統領が乗っていたのは中国上汽通用五菱汽車(SGMW)製のEVで、ケニアの自動車販売会社オートパックス(Autopax)が組み立て、新しく作った自社ブランド「Yetu」として販売する。1回の充電当たりの走行可能距離が200キロのタイプと300キロのタイプの2種類が今後販売され、販売価格は150万~170万シリング(1シリング=約1円)程度を予定している。また、大統領警護隊は、西アフリカのベナンのEVメーカーSPIRO製の二輪車に乗車した。同社は、「ボダボダ」と呼ばれるバイクタクシーのEV化推進において、ケニア政府との協業を発表している。同社はモンバサの工場で組み立て生産を行い、ケニア国内で100万台の販売と、バッテリーの交換所を3,000カ所設置する計画を掲げている。

サミット会期中には、各国による支援策も数多く発表された。再生可能エネルギーについては、2023年11月末から開催予定の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の開催国で議長国のアラブ首長国連邦(UAE)が、クリーンエネルギープロジェクト推進に45億ドルの支援を発表した。同国のマスダール、アブダビ開発基金、輸出信用機関、アメア・パワーなどが資金を拠出し、アフリカ開発銀行の投資プラットフォーム「アフリカ50」が戦略的パートナーとしてプロジェクトの選定を支援する。

EUは、グローバル・ゲートウェイ(2021年12月3日記事参照)の一環として、ケニアのグリーン水素戦略およびロードマップを発表し、官民投資の呼び水として1,200万ユーロの無償資金協力を行うことを発表した。グリーン水素の国内市場開発や成長、輸出などを支援するとしている。そのほか、ドイツは、グリーン水素を用いた肥料プラントの建設計画を発表している。

米国は、アフリカの食料安全保障強化および気候変動対応への支援を増強し、累計4,500万ドルを拠出すると発表した。コールドチェーンの整備や気候変動耐性の高い農業、ポストハーベストなどの革新的なソリューションに投資していくことで、食料安全保障強化に貢献するとしている。米国はこのほか、ケニア政府に対する排出権市場の開発、規制や法的枠組み整備にかかる140万ドルの支援も発表した。

(佐藤丈治)

(ケニア、アフリカ)

ビジネス短信 4b2c735bc4e76664