2024~2026年の経済「中期計画」を発表、経済界は好意的に受け止め

(トルコ)

イスタンブール発

2023年09月19日

トルコ政府は9月6日、2024~2026年の経済についての「中期計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は「金融引き締めを支援することで、インフレを再び1桁に低下させ、経常収支を改善する」とし、低金利政策によって投資、生産、雇用、輸出を優先して、経済成長を促進させるという従来の方針を転換し、メフメット・シムシェキ国庫・財務相の経済政策を支持することを明らかにした。一方で、「経済成長は決して妥協しない」と述べ、「投資、生産、雇用、輸出に基づく成長政策を通じた物価安定に重点を置き、実体部門を支援する融資の機会を提供する」とし、「インフレ問題をわが国の課題から取り除く」と強調した。

同計画では、2023年末のGDP成長率を4.4%と予測、2026年の目標を5.0%とした(添付資料表1参照)。また、1人当たり所得は2026年に1万4,855ドルを目標とした。インフレ率に関しては、2023年末時点の見込みを前年比65.0%とし、2026年に1桁台に抑えることを目標とした。失業率も2025年には1桁台に改善することを目標としている。

経常収支の赤字は、2023年の425億ドル(GDP比マイナス4.0%)の見込みから2026年には300億ドル(同マイナス2.3%)まで減少させることを目標としている。一方、財政赤字については、2023年末予測の1兆6,330億リラ(約8兆9,815億円、1リラ=約5.5円)から、2024年には2兆6,519億リラに膨れ上がる見込みだ(添付資料表2参照)。

中期計画では、経済成長と貿易、人材と雇用、物価と金融の安定、財政、災害管理、グリーンとデジタル化、ビジネスと投資環境に関するビジョンも提示された。経済界は、安定性と予測可能性が高まり投資環境が改善されるとして、中期計画に対しおおむね好意的で、特に、グリーントランスフォーメーションとデジタル化に焦点が当てられている点を評価している(9月8日付「デイリー・ニュース」)。

また、ジェブデット・ユルマズ副大統領は「中期計画の最大の強みは、大統領自らがこの計画を発表し、『政府としてわれわれはこの計画を支持し、支援する』と述べたことだ」とした(9月7日付トルコ国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(中島敏博)

(トルコ)

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