中銀、2023年GDP成長率の見通しを0.9%に下方修正

(ペルー)

リマ発

2023年09月26日

ペルー中央準備銀行(BCR)は915日、20239月のインフレレポートを発表し、2023年のGDP成長率を0.9%、2024年を3.0%とした。2023年のGDP成長率については、6月時点の見通し2.2%から1.3ポイント下方修正し、2024年のGDP成長率については、6月時点見通しを維持した。2023GDP成長率が下方修正された理由の1つとして、一次産業のGDP成長率において、農畜産業が0.4%からマイナス2.0%、漁業はマイナス15.0%からマイナス26.4%といずれも大幅に低下したためだ。さらに、これらに付随した一次産品製造業も4.2%のマイナス成長予想となっている(添付資料表1参照)。背景としては、南部における干ばつの影響、またエルニーニョ現象によるペルー沿岸部の海面温度上昇のため、魚粉や魚油産業の原料となるカタクチイワシの第1期(前期)漁が解禁されなかったことがある。

国内経済の動向について、フリオ・ベラルデBCR総裁は記者会見の場で、内需における民間消費と民間投資それぞれの成長率を6月時点の見通しから下方修正したと発表した。民間消費は2.6%から1.2%に、民間投資はマイナス2.5%からマイナス5.3%に低下している。特に民間投資部門については、非鉱業分野がマイナス3.7%、鉱業分野がマイナス18.1%となっており、主に上半期で設備投資を終えたケジャベコ銅鉱山の影響を指摘した。なお、2024年に向けては、消費、投資のいずれもプラス成長の見通しだ(添付資料表2参照)。

インフレ率についてベラルデ総裁は、20238月時点での12カ月累計インフレ率は5.58%で、特に食品とエネルギー価格を除いたインフレ率は3.81%と政府目標(13%)に迫っているとしている。一方で、食品とエネルギーのインフレ率は7.66%となっており、主に食品部門における干ばつ、肥料の高騰、第1四半期の社会争議による道路封鎖、鳥インフルエンザやエルニーニョ現象などの影響を要因として挙げた。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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