中・東欧12カ国、三海域イニシアチブ首脳会合でロシアを強く非難

(ルーマニア、中・東欧、ロシア、ウクライナ)

ブカレスト発

2023年09月12日

三海域イニシアチブ(3SI)第8回首脳会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが9月6日、ルーマニアのブカレストで開催された。翌7日には企業関係者らも参加するビジネスフォーラムが併催された。3SIは、バルト海、黒海、アドリア海地域の中・東欧12カ国の経済協力枠組みで2015年に発足した。会合には、戦略的パートナーとして米国、ドイツ、欧州委員会が参加した。ギリシャは今回から正式加盟し、モルドバとウクライナには準メンバーの地位が付与された。

会合後の共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、「明らかな国際法違反であるロシアのウクライナ侵攻に対し、最も強い表現で非難する」とあらためて表明した。ロシアが全ての兵士と装備を即時かつ無条件に撤退させることを求め、加えてモルドバへの不安定化工作などの法秩序を損なう威圧行為についても非難するとした。その上で、3SIはウクライナ、モルドバ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、北マケドニア、アルバニアのEU加盟に向けた努力を引き続き支援するとした。ロシアや中国の影響力が増すバルカン半島の安定に向け、3SIが積極的に関与する姿勢を示した。

3SIの目的である連結性強化については、輸送、エネルギー、デジタルの主要3分野でインフラ開発が進展しており、2023年時点で102のプロジェクトに焦点を当てているとした。これまで60億ユーロ相当の5つのプロジェクトが完了したことにも言及した。3SIでは、2018年に加盟国や米国が拠出して3SI投資ファンドを開設し、EUや国際金融機関、民間からの投融資を受けプロジェクト開発を進めている。

共同声明では、現在の地政学的状況において戦略的な域内連結プロジェクトとエネルギー多角化を推し進めるためには、米国の財政的関与と支援が不可欠と強調した。米国はロシアや中国の影響力拡大を抑制する観点から、3SI発足当初から一貫して支持しており、今回の会合やビジネスフォーラムには、ジョン・ケリー米国気候問題担当大統領特使のほか、米国輸出入銀行(EXIM)のレタ・ジョー・ルイス総裁やバラク・オバマ政権下で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジェームズ・ジョーンズ氏ら要人が参加した。

3SI加盟12カ国は、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ルーマニア、ブルガリアとなっている。次回2024年の3SI首脳会合およびビジネスフォーラムはリトアニアで、2025年はハンガリーで開催される予定だ。

(高崎早和香)

(ルーマニア、中・東欧、ロシア、ウクライナ)

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