第2四半期の総固定資本形成(投資)は前期比6.5%増と急拡大、GDP比は過去最高水準に

(メキシコ)

メキシコ発

2023年09月20日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は9月18日、2023年第2四半期の需要・供給項目別GDP統計を発表した。伸び率が著しかったのは総固定資本形成(投資)で、前年同期比で21.0%増、季節調整済み前期比で6.5%増と急拡大を見せた。GDPの約7割を占める民間消費は前年同期比で4.3%増、前期比で1.0%増と堅調に推移した。GDPの約4割を占める輸出(注)は、行き過ぎた通貨ペソ高の影響もあり、前年同期比6.1%減、前期比3.1%減と前年同期比で2四半期連続、前期比で3四半期連続のマイナス成長となっている。2023年の上半期(1-6月)累計でみると、民間消費は前年同期比4.6%増となり、GDP成長に対する寄与度は3.19ポイントに及んだが、総固定資本形成は同18.2%増、寄与度は3.85ポイントに達し、GDP成長の最大の牽引役となった。他方、輸出は同3.2%減と振るわなかった(添付資料表参照)。

総固定資本形成の約9割が民間部門の投資で、前年同期比21.2%増、前期比6.5%増と急増した。民間部門の投資は昨今のニアショアリングの流れを受け、2022年第4四半期から3四半期連続で前年同期比2桁の成長を記録している。公的部門の投資も、前年同期比19.1%増、前期比5.1%増となり、こちらも第2四半期に急拡大を見せている。公的部門の投資急拡大はマヤ観光鉄道やテワンテペック地峡開発などアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール現政権の目玉インフラプロジェクトを現政権が終了する2024年9月末までに終わらせる駆け込み需要が影響した。

GDPに占める総固定資本形成の比率は24.8%と過去最高の水準に

GDPに占める民間部門と公的部門の総固定資本形成の比率をみると、2023年第2四半期は民間部門が22.4%、公的部門が2.5%となり、合計すると24.8%に達した。これは1993年以降の第2四半期の数字としては過去最高の水準となる。民間部門の総固定資本形成がGDPの2割を超えたのは、1993年以降では1994年と2012年、2015年の3回だけで、これらの水準をも上回った。他方、公的部門の総固定資本形成のGDP比は2023年でも2.5%にとどまっており、5%を超えていた2008~2010年と比べると半分以下の比率だ。マヤ観光鉄道などの大規模公共事業の活性化により、足元で公的投資は急増しているものの、過去の政権と比べると現政権は公的投資の規模が小さく、国が経済成長の牽引役にはなっていない。

(注)メキシコの場合、輸入も4割強を占めるため、「純輸出」(輸出-輸入)はマイナスとなる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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