デリバリーサービス大手の美団、ドローン配送サービスを正式に開始

(中国)

上海発

2023年09月27日

中国のデリバリーサービス大手、テンセントグループの美団(注)は9月19日、深セン市竜華区の同社スマートドローン製造センターを拠点に、自社開発のドローンおよび付随する知能モジュールなどの研究開発・実証、生産に向けた取り組みを行うと発表した。今後は、年間1万台を超えるドローンの生産を目標としている。

美団は、2017年からドローン配送サービスの事業化を検討し、2021年には上海市金山区政府の協力のもと、中国初となる都市低空物流運営モデルセンターを同区に設立した。2023年8月末時点で、自律型ドローンの飛行、先端技術を用いたスマートシステムと効率的な運営システムの初期段階の研究開発を完了している。深セン市、上海市など7つの都市に17の飛行経路を設定し試験的な運営を開始しており、すでに14のオフィスビル、4つの観光地などを対象に累計18万4,000件の注文に対応している。

美団の関係者は、深セン市のようなハイテク都市でドローン配送が成功すれば、3年以内に他都市でも展開が可能と見込んでいる。5年から10年以内に中国国内の100を超える都市において都市低空ドローン配送ネットワークを構築できるだろうと予測している。

中国民航大学の劉勝軍准教授は、ドローン配送の商業化を迅速に実施するためには、政策の見直しと法律・法規の改正が必要と指摘している。劉准教授は、深セン市司法局が2021年10月に発表した「深セン市民用無人航空機の管理弁法(意見公募)」を例に挙げ、「ドローン配送が地方レベルの法律・政策において初めて取り上げられた弁法であり、ドローンによる配送サービスが試験的な段階から、推進・実施の段階へと移行することが期待されるということを、法律・政策が認め始めた」との見解を示した。

(注)2010年に開設された生活関連サービスの電子商取引(EC)プラットフォーム。中国国内に6億8,000万人のユーザーを有しており、中国最大級のOMO生活情報プラットフォーム。年間アクティブユーザーは6億7,800万人。ユーザーの年間平均購入回数は40.8回。中国最大の口コミサイト「大衆点評」も運営。

(尹世花)

(中国)

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