ラゴスに新鉄道路線が開通、渋滞緩和に期待

(ナイジェリア)

ラゴス発

2023年09月15日

ナイジェリアの経済都市ラゴスのビジネス街ラゴス・アイランドと、多くの市民が居住するメインランドの南東部を結ぶ新たなライトレール路線「ブルーライン」が9月4日、一部区間で運行を開始した。運行区間は電化されているものの、ラゴス首都圏交通局(LAMATA)は電化の運用までには1カ月を要するとし、その間はディーゼル機関車に牽引された4両編成の車両1本が単線運行をする。開業から2週間は試験運転のため運行本数は1日12便だが、本格運行時には76便へ増便予定だとしている。

今回開通したのはラゴス・アイランドのマリーナ地区を起点とした13キロで5駅。今後、第2フェーズの完成時には総延長27キロ、設置駅数11駅になる予定だ。第2フェーズは2023年末に着工し、2027年上期に全面開業を予定している。ビジネスが集積するラゴス・アイランドへの沿線住民のアクセスが向上し、渋滞緩和などが期待される。ババジデ・サンウォオルラゴス州知事は同日、メインランドを南北に縦断する新路線「レッドライン」も、2023年末までに開通予定とアピールした。

路線建設に当たっては、中国鉄建股份有限公司(CRCC)の完全子会社の中国土木工程集团有限公司(CCECC)が設計と建設契約を受注した。同路線は1983年に策定された戦略的交通マスタープランの一部で、2009年に着工し2011年の開業を目指していたが、資金面の課題などのため、当初より大幅に遅れて開業のかたちとなった。

運賃は完全にキャッシュレス決済となっており、現金での乗車はできない。運賃の支払いは交通系ICカードか、スマートフォンアプリによるQRコード決済のみ利用可能だ。カード発行手数料は500ナイラ(約100円、1ナイラ=約0.2円)となっている。運賃にはゾーン制を採用し、ラゴス・アイランドとメインランドをつなぐ区間がゾーン1、メインランド内の区間がゾーン2に区分される。ターミナル間の現在の最大運賃は750ナイラ、ゾーン2内の区間では乗車距離に応じて200~500ナイラの間で料金が変動する。なお、ラゴス州政府は2023年末まで乗車運賃を半額とする措置を講じている。

また、列車に電力を供給する第三軌条の敷設に伴い、線路への人の立ち入り防止と安全確保を目的に、各駅と線路に計300台の監視カメラを設置していると述べた。

写真 停車中の車両。本格運行時には複線化の予定(ジェトロ撮影)

停車中の車両。本格運行時には複線化の予定(ジェトロ撮影)

写真 車内の様子。撮影日には試乗の乗客の姿が目立った(9月10日、ジェトロ撮影)

車内の様子。撮影日には試乗の乗客の姿が目立った(9月10日、ジェトロ撮影)

写真 改札機。タッチ決済もしくはQRコード決済の限定(ジェトロ撮影)

改札機。タッチ決済もしくはQRコード決済の限定(ジェトロ撮影)

(柴田北斗)

(ナイジェリア)

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