イスラム原理主義組織ハマスがイスラエルを攻撃、双方の死者は約1,500人

パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織のハマスは10月7日、イスラエルに向けてロケット弾などによる大規模な攻撃を行った。イスラエル国防軍（IDF）によると、当地10月9日午前0時15分（日本時間10月9日午前6時15分）時点で3,284発のロケット弾が発射された。ロケット弾はイスラエル南部の都市だけでなく、主要商業都市であるテルアビブやエルサレム郊外にも着弾している。また、多数のハマスの戦闘員がイスラエル南部に侵入した。

イスラエルの現地紙「ハアレツ」（10月９日）は、イスラエル側で900人が死亡し、約2,400人がけがをしたと伝えている。また、各種メディアは、ハマスがイスラエル人150人を人質としてガザに連れ去ったと報じている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、7日午後にテルアビブで開かれた安全保障閣僚会議の冒頭で、「今朝から、イスラエルは戦争状態にある」と述べた。同首相は戦争の目的として、第1にわれわれの領土に侵入した敵対勢力を一掃し、第2に、ガザ地区内でも敵から莫大（ばくだい）な代償を引き出し、第3に他の戦線を強化し、この戦争に誤って参加する者を出さないようにすることとした（10月7日イスラエル首相府）。

イスラエル国防軍（IDF）は7日午前10時過ぎから「鉄の剣（Sword of Iron）」作戦と称する軍事作戦を開始し、ガザのハマス拠点への空爆を続けている。パレスチナ自治政府（PA）の保健省によると、IDFによる空爆により、当地10月9日午後3時時点で560人が死亡し、2,900人がけがをしたとしている。

ネタニヤフ首相は10月8日午前に米国のジョー・バイデン大統領と電話会談を行い、バイデン大統領は、イスラエル政府と国民への全面的な支援を約束した。

岸田文雄首相は10月8日、パレスチナ武装勢力のイスラエル攻撃に対し、自身のSNS上で「罪のない一般市民に多大な被害が出ており、これを強く非難する」と投稿した。さらに、「ガザ地区においても多数の死傷者が出ていることを深刻に憂慮している」とし、全ての当事者に対し最大限の自制を求めた。

IDFのダニエル・ハガリ報道官は10月9日、「われわれはガザ周辺地域を完全に包囲している」と述べるとともに、48時間以内に30万人の予備役を動員したことを明らかにした。

（中溝丘）