新投資法の運用細則公布、重点分野の投資誘致拡大狙う、ジェトロが和訳公開

(カンボジア)

プノンペン発

2023年10月19日

カンボジアで6月26日に公布された「投資法の施行に関する政令(No.139 ANK.BrK)」について、ジェトロはこのたび和訳を公表したPDFファイル(2.2MB)(注1)。同政令は、2021年10月に施行された新投資法の運用細則として、優遇対象となる投資プロジェクトの登録手続きや適格投資プロジェクト(QIP、注2)に対する投資優遇措置の詳細などを定めている。

同政令では、投資活動の種類に応じて基本的優遇措置(事業所得税の減免など)を受けられる期間が3つのグループに分けられた(注3)。例えば、自動車・同部品や電子機器・同部品などの製造は、カンボジアの発展に寄与する重点分野に位置づけられるグループ1に分類され、最も長い優遇措置期間が付与される。

自動車(新車)組み立て事業に対しては、パーツ数や投資資本額、従業員数に応じて、関税、特別税、付加価値税を50~90%引き下げると定めた。政府は2022年12月に自動車・電子機器分野の発展のためのロードマップを発表するなど、自動車産業を含む高度な組み立て事業の投資奨励によるカンボジアの技術向上を期待している。今回、新車組み立て事業への優遇措置が明記された一方、輸出志向型QIPのように生産資材の輸入にかかる関税、特別税、付加価値税が全て免除されるわけではなく、さらなる税優遇を求める意見も官民から上がっている。

同政令による主な改正点は次のとおり。

  • 投資優遇措置を受けることができない投資活動の一覧と基準を列挙した(付属書1)。
  • 投資活動グループの区分に応じた税制優遇措置の適用期間(第14条)、EQIP(QIPの拡張プロジェクト)に対する投資優遇措置を定めた(第16条)。
  • 国内志向型QIPの生産ラインに用いる生産資材の輸入について、税制優遇措置を受けられる投資活動の一覧を列挙した(付属書4)。
  • 税制優遇措置は対象外なものの、輸入時の関税、特別税、付加価値税の免除を受ける投資活動について、保税倉庫・ドライポートといった大型物流プロジェクトなどを加えた(付属書3)。

(注1)原文と解釈が異なる場合は原文を優先。

(注2)カンボジア開発評議会(CDC)などから登録証明書の発行を受けた投資プロジェクト。

(注3)最初に事業活動から収入を得た時点から、グループ1(37分野)は9年間、グループ2(65分野)は6年間、グループ3(32分野)は3年間の事業所得税の免除などを受けられる(第14条)。投資グループごとの対象分野は付属書2を参照。

(藤田ゆか)

(カンボジア)

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