カナダ中銀、政策金利を5.0%に据え置き、2会合連続

(カナダ)

トロント発

2023年10月26日

カナダ中央銀行は10月25日、政策金利を5.0%に据え置く声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、併せて、経済見通しを示す金融政策報告書を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。据え置きは前回9月発表(2023年9月7日記事参照)に続いて2会合連続。中銀は「金融政策が支出を抑制し、物価上昇圧力を緩和している兆候がより鮮明になっているため」と説明した。

声明ではカナダ経済について、過去の利上げで消費が低迷し需要が軟化しており、企業投資も需要の減退と借り入れコストの上昇が重荷になっているとした。一方で、労働市場は依然として逼迫し、賃金上昇が続いているとして、全体として経済の需給が均衡状態に近づいており、実質GDP成長率は2023年の1.2%、2024年の0.9%を経て、2025年には2.5%に回復すると予想した。

消費者物価指数(CPI)上昇率は、6月2.8%、8月4.0%、9月3.8%(2023年7月19日記事参照2023年10月18日記事参照)と、ここ数カ月は不安定とした。金利上昇を受けてクレジットで購入する多くの商品の物価上昇は鈍化しているが、目先のインフレ期待と企業の価格行動はまだ正常化しておらず、賃金も4~5%程度で伸びるなど、コアインフレ指数に下降の勢いがみられないとした。今後のCPI上昇率は、2024年半ばまでは平均約3.5%で推移し、2025年には2%まで徐々に緩和すると予想した。

また、今後の政策金利について、「物価安定に向けた進展が遅く、インフレリスクが高まっていることを懸念しており、必要ならば政策金利をさらに引き上げる用意がある」とし、「コアインフレ指数に下降の勢いが見えることを望んでいる」と言及した。

発表を受けて同日、CIBCキャピタルマーケッツのマネジングディレクター兼チーフエコノミストのエイバリー・シェンフェルド氏は「当行では、中銀が十分な利上げを実施しており、成長が抑制され、物価上昇率が(中銀の)最新予測よりもやや速いペースで低下しているとの見方を堅持する。これはインフレ面では吉報だが、成長面ではそうではないことから、(中銀が)2024年半ばに向けて政策金利を緩和するのに十分な材料となると判断し、同年末までに金利を3.5%まで引き下げると予想する」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ10月25日)。

次回の政策金利発表は12月6日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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