世界銀行、2023年度のパキスタンの経済成長率を1.7%と予測

(パキスタン)

調査部アジア大洋州課

2023年10月16日

世界銀行は10月3日に発表した「パキスタン経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)のパキスタンの実質GDP成長率を1.7%に回復すると予測した。前年度は、2022年に発生した大規模な洪水被害などの影響からマイナス0.6%まで落ち込んでいた。

予測の前提として、IMF加盟国が国際収支問題に直面した際に供与される短期的な財政支援である「スタンドバイ取り決め(Stand-By Arrangement、SBA)」の確実な実施と、新規の財政支援獲得、緊縮財政の継続などを挙げた。中期的には潜在的な成長率を下回るものの、2024/2025年度には2.4%にまで回復すると見通した。

世界銀行パキスタン担当ディレクターのナジィ・ベンハッシン氏は「パキスタンにおけるマクロ経済の安定と成長を促進するためには、慎重な経済のかじ取りと抜本的な構造改革が必要不可欠だ」とコメントした。

パキスタン経済の中長期的な経済の回復と安定の回帰に向け、本報告書で提案されたポイントは次のとおり。

  • 抜本的な免税規定の削減
  • 農業収入、不動産、小売業への累進課税導入などを通じた税基盤拡大
  • 不適切な補助金削減による公共支出の質の向上
  • エネルギー分野における事業環境の改善
  • 国有事業への民間参画の促進
  • 公的債務管理体制の強化

(深津佑野)

(パキスタン)

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