繊維・衣料品の輸入に8~39%の追加関税を発表

(トルコ)

イスタンブール発

2023年10月19日

トルコの官報32341号大統領令7709号(10月15日付PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によると、トルコ政府は、紡織用繊維およびその製品(HSコード第11部)の1,209品目に対する追加関税を発表した。この追加関税は11月15日付で発効となる予定。

追加関税の対象となるのは、HSコード第11部のうち、繊維関連品の第51類(発効後税率27%)、第52類(8~27%)、第54類(8~27%)、第55類(13~27%)、第56類(27%)、第58類(27%)、第60類(27%)、衣類の第61類(39%)、第62類(39%)、第63類(29%)の品目で(注)、関税対象国カテゴリーのうち、4:イスラム諸国会議機構特恵貿易制度(TPS-OIC)対象国、一般特恵関税制度対象国(GSP)に分類される国(5:最恵国、6:トルコが特別インセンティブを付与している国、7:一般特恵関税制度の恩恵を受ける開発途上国)、および8:その他(日本を含む)が対象となっている。

本措置は、繊維・衣料品の輸入量が2022年後半から増加しはじめ、国内生産部門の設備稼働率の低下と雇用の喪失がみられたことから、生産者保護を目的に講じられたとされる。

イスタンブール繊維・原料輸出業者協会(İTHİB)は、追加関税措置が国内生産者の生産・輸出活動へのモチベーションを高めるとし、業界の復活と雇用増だけでなく、政府の税収増にも寄与すると歓迎の意を表明した。他方、トルコ商工会議所連合(TOBB)からは、業界が生産コスト圧縮に努力している中、輸入原料価格の上昇はトルコブランドの競争力をそぐだけでなく、大きなインフレ圧力になると反発している。また、トルコ衣料品生産者協会は、本措置によって生産コストが上昇するだけでなく、海外アパレルブランドの衣類の輸入への関税率が30%から39%に引き上げられることから、輸入品の店頭価格は12月に10%は値上りすることになるだろうと警告した。(10月17日付「エコノミム」)。

(注)第51類(羊毛、繊獣毛、粗獣毛および馬毛の糸ならびにこれらの織物)、第52類(綿および綿織物)、第54類(人造繊維の長繊維ならびに人造繊維の織物、ストリップその他これに類する人造繊維製品)、第55類(人造繊維の短繊維およびその織物)、第56類(ウォッディング、フェルト、不織布および特殊糸ならびにひも、綱およびケーブルならびにこれらの製品)、第58類(特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミングおよび刺しゅう布)、第60類(メリヤス編物およびクロセ編物)、第61類〔衣類および衣類付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものに限る)〕、第62類〔衣類および衣類付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く)〕、第63類(紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品およびぼろ)。

(中島敏博)

(トルコ)

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