大統領選の決選投票で野党候補者が勝利

(モルディブ)

コロンボ発

2023年10月03日

モルディブで9月30日、大統領選挙の決選投票が実施された。同国選挙委員会の暫定発表によると、現職大統領として2期目を目指すモルディブ民主党(Maldivian Democratic Party:MDP)のイブラヒム・モハメド・ソーリフ氏は46%の得票に終わり、モルディブ進歩党(Progressive Party of Maldives:PPM)と人民国民会議(People’s National Congress:PNC)の連合が支持する現マーレ市長の野党候補モハメド・ムイズ氏が54%を獲得し、勝利した。9月9日に実施された選挙では、どの候補者も50%以上の得票を確保できなかったため、30日に両者による決選投票を実施したもの(2023年9月12日記事参照)。

今回の結果について海外メディアは、親中派とみられるムイズ氏が親インド派と目されるソーリフ氏に勝利したことにより、今後のモルディブのインドと中国間の外交関係にどういう影響を与えるかに注目して報道している(「アルジャジーラ」「タイムズ・オブ・インディア」紙9月30日、「AP通信」「ロイター」10月1日)。インドのナレンドラ・モディ首相はX(旧ツイッター)でムイズ氏への祝意とともに、モルディブとの協力を強化する方針を示している。

今後のモルディブ国内政治で円滑な政権移行の実現が注目される。選挙結果の暫定発表後に開いた記者会見で、ムイズ氏は政治的な立場の違いを越えた国民統合の重要性を強調した。選挙翌日の10月1日には、ムイズ氏とソーリフ氏が会談を実施し、政権移行について議論を交わした。また同日、収賄罪によって2022年12月の裁判で懲役11年が命じられたアブドラ・ヤミーン前大統領が一時的に釈放された。ヤミーン氏はムイズ氏の有力な支持者で、ヤミーン政権期にムイズ氏を住宅相として起用していた。

(大井裕貴)

(モルディブ)

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