タイのトリスレーティング、ラオスのソブリン債の格付けを引き下げ

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年10月25日

タイの格付け会社トリスレーティング(Tris Rating)は9月22日、ラオスのソブリン債(注1)の最新の信用情報レポートにおいてラオスのソブリン債格付け(注2)をBBB-からBB+へ引き下げた。また、見通しをネガティブとした。レポートによると、今回の引き下げは、予想を上回る経済の弱体化と現地通貨キープの下落(対ドル為替レートは年初より13%下落)により債務返済能力が大幅に悪化し、財務の柔軟性が低下したことを理由として挙げた。また、ネガティブとした理由は、今後12~18カ月間に債務返済能力がさらに悪化する見通しのためとした。さらに、2023年8月にラオス財務省が実施したバーツ債の調達では、引き受け不足の結果となり、ラオスの外国での資金調達の課題が増大していることを示すと指摘した。

なお、ラオス財務省は2023年末までに、タイ証券取引所で過去に発行した36億バーツ(約148億円、1バーツ=約4.1円)の国債の償還期限を迎える。このため、ラオス財務省は9月11日から、国内で国債を発行した。借り換え資金の調達を行うために、金融機関や投資家向けに30億バーツ(期間1~10年、利率5~8%)、1億ドル(期間1~10年、利率5~8%)および3兆キープ(約216億円、1キープ=約0.0072円)(期間1~10年、利率5.8~8.15%)の国債を販売している。なお、国債販売を取り扱う証券会社への聞き取りによると、30億バーツのバーツ債については9月中に完売したという。

(注1)ソブリン債とは、政府や政府機関が発行/保証する債券の総称。

(注2)トリスのソブリン債格付けは「AAA」「AA」「A」「BBB」「BB」「B」「C」「D」に分類され、AAからBまでは格付け内の相対的な評価を示すためにプラス(+)またはマイナス(-)も加えられる。BBBは信用リスクが中程度で、期限どおりの償還能力を有するが経済や環境の不利な変化に脆弱(ぜいじゃく)とされる。BBは信用リスクが高く、期限どおりに償還する能力が中程度未満で、経済や環境の不利な変化に大きな影響を受けると定義される。

(山田健一郎)

(ラオス)

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