淘天集団、知財保護の取り組みを日本企業に紹介

(中国)

上海発

2023年10月13日

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)と、中国知的財産問題研究グループ(中国IPG、注2)の模倣品対策委員会は9月25日、中国アリババ傘下の淘天集団と、模倣品対策に関する年1回の定期意見交換会を実施した。浙江省杭州市のアリババ本社で開催され、会場には45人、オンラインからは60人が参加した。

淘天集団知的財産権とブランド協力部門の担当者が淘天集団の知的財産保護の取り組みについて紹介した。担当者によると、2023年3月にアリババグループホールティングス全体の組織改革を行い、事業を6つに分割した「1+6+N」(注3)の体制となった。日本企業が最も関心を寄せている知的財産保護については、組織改革後もこれまでと同様、国内外の企業はアリババの知的財産保護プラットフォーム(IPP)を通じて、ワンストップ式の申し立てができる。国外向けECプラットフォームを運営する国際商業集団(注4)は、今後独自の知的財産保護プラットフォームを開発予定だ。

淘天集団は、2023年から新たに訴訟前の調停メカニズムを導入した。権利者が商標権、特許権、著作権侵害を発見し、IPPに申し立てが行われた場合、加害者側は調停を申請し、和解を求めることが可能になった。権利者が同意すれば、第三者の調停機構である浙江省杭州市知的財産権訴訟調停センターが介入して調停を行う。調停期間は通常15営業日。

さらに、淘天集団は権利者とともに、オフラインの連携プログラムも推進しており、次の3つの手法が紹介された。

  1. 淘天集団の安全部門が自ら模倣品に関する手がかりを見つけ、権利者、法執行機関とともに摘発を実施する。
  2. 権利者が手がかりを見つけて、淘天集団と協力してより詳細を特定した上で、法執行機関と協力する。
  3. 法執行部門の要請に応じ、淘天集団が情報提供を行う。

淘天集団の知的財産保護の取り組み紹介の後、参加企業と意見交換を実施した。申し立てに関する具体的な要望や提案などが寄せられ、活発な意見交流が行われた。

写真 意見交換会の様子(ジェトロ撮影)

意見交換会の様子(ジェトロ撮影)

(注1)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版など海外での知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2023年6月現在で90団体・203企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各PJでは、海外の政府機関や専門家などとの意見交換会などを実施している。

(注2)中国IPGは、中国で事業展開を行う日系企業・団体が主体となり、日中両国の政府関係機関、中国で活動する知的財産関係機関、有識者などとの交流とともに、情報収集や調査研究、情報発信などの各種活動を行っている。

(注3)「1」とはアリババグループホールディングスを示す。「6」とはアリババが有する主要な6事業を指し、具体的には淘天集団、国際商業集団、アリババクラウドインテリジェンス集団、大文娯集団、菜鳥集団、本地生活集団を指す。「N」とはアリババヘルスなどその他のさまざまな事業を指す。

(注4)国際商業集団はAliExpress、Lazada、アリババ国際站などの国外向けECプラットフォームを運営している。

(陳貝蓓)

(中国)

ビジネス短信 80f2b3bb7da6602c