カタクチイワシ漁がようやく解禁、漁獲枠は縮小

(ペルー)

リマ発

2023年10月25日

ペルー生産省(PRODUCE)は10月20日、ペルー沿海北・中部での10月26日からのカタクチイワシ(アンチョベータ)とシロカタクチイワシの2023年第2漁期(夏漁)の解禁と漁獲枠を発表した。同国では資源保護の観点から、2023年第1漁期(冬漁)の解禁が見送られ、漁業関係者は解禁を切望していた(2023年6月16日記事参照)。同日公布した省令第000358-2023-PRODUCE号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、第2漁期の漁獲枠は前年同期比マイナス26.3%の168万2,000トンに縮小した。終漁時期は指定漁獲枠に達した時点、もしくはペルー海洋研究所(IMARPE)が漁業資源または環境保護の観点からPRODUCEに終漁を進言した時点としている。その他の規定として、漁獲が認められているカタクチイワシの最小サイズ(12センチ)よりも小さい個体の漁獲許容量については、各船舶の漁獲数の10%以内、偶発的に捕獲した他品種の漁獲許容量については、各船舶の総漁獲重量の5%以内とそれぞれ定めている。

今回設定した漁獲枠については、エルニーニョ現象のさらなる発生を危惧するIMAPREからPRODUCEへの進言を基に決定されたとみられている。

全国漁業組合(SNP)がマクロコンサル(MACROCONSULT)社に委託した試算によると、第1漁期の解禁見送りによって、約240万トンのカタクチイワシの漁獲、57万8,000トンの魚粉、6万トンの魚油の生産機会が失われたという。経済的損失は約14億ドル分の輸出の減少に加え、労働市場では1,500人分の雇用、1億4,000万ソル(約54億400万円、1ソル=約38.6円)の給与収入が失われたと分析している。これらの分析結果を受けてSNP側は、2023年第2猟期が実施されないことで、2023年度のペルー経済に及ぼすマイナス影響は甚大と評価していた。マクロコンサル社の試算では、第2漁期の解禁によって120万トンの漁獲量が得られ、そこから生産される魚粉と魚油が全て輸出された場合、2023年第4四半期(10~12月)と2024年第1四半期(1~3月)の間の輸出額は7億9,200万ドルに上るとしている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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