メローニ・イタリア首相、G20で中国の李強首相と会談

(イタリア、中国)

ミラノ発

2023年10月12日

イタリアが中国の「一帯一路」構想からの離脱を検討していると一旦は報じられたが、10月11日現在において、政府発表でも報道ベースでも両国関係について決定的な動きは見られていない。とはいえ、今後も注目される動きのひとつであることから、G20までの両国関係について、要人訪問および貿易動向の観点を中心にまとめた。概要は次のとおり。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相はインドで開催されたG20サミットに合わせて、9月9日に中国の李強首相と会談を行った。両者が顔合わせするのは初めてで、2国間や国際問題に関して対話を強化・深化させるという共通の意図を確認した。また、同会談についての9月9日付のイタリア政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2004年にシルビオ・ベルルスコーニ政権で締結した「グローバル戦略パートナーシップ」が2024年で20周年を迎えることを挙げ、両国間の友好関係と協力を促進していくことを強調した。

9月4日にも、イタリアのアントニオ・タヤーニ外務・国際協力相が訪中して王毅外相と会談を行った。同会談についての9月2日付の外務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2023年上半期に中国との貿易額が340億ユーロに達したことを挙げ、中国をアジアの主要な貿易相手国と示した上で、タヤーニ外務・国際協力相は「中国の貿易収支を改善し、中国市場へアクセスしやすくするのが政府の務めだ」とコメントしている。

両国の2012~2022年の貿易額の推移(添付資料図参照)をみると、中国への輸出額は2012年の約90億ユーロから、2022年は約164億ユーロと82.2%増加したのに対し、同国からの輸入額は約250億ユーロから2.3倍の約575億ユーロへと伸びており、イタリアの貿易赤字は拡大傾向にある。輸出では、医薬品・その他の製剤が最大の輸出品目で、2022年には2012年の7.8倍の約14億ユーロとなった。輸入では、最大輸入品目の電気機器・通信用電子機器が4.7倍の約44億ユーロ、次いで有機基礎化学品が7.4倍の約44億ユーロ、鉄・鋳鉄・鋼鉄・合金鉄が4.3倍の約23億ユーロだった。2022年に中国はドイツに次ぐ第2位の輸入相手国となっており、貿易相手国としては軽視できない。

イタリアと中国の目下の課題は、2019年3月に締結された中国の「一帯一路」構想に関する覚書の更新についてだ(2019年6月27日付地域・分析レポート参照)。同構想からのイタリアの離脱が報じられているものの、現時点では公式な見解は出ていない。離脱へのソフトランディングとして、前述の「グローバル戦略パートナーシップ」が引き合いに出されているのではという見方もある(9月10日付「ラ・レプブリカ」紙)。また、イタリア国内ではメローニ首相の訪中の可能性も報道されており、そこで何らかの方針が示される可能性も高く、今後の動向が注目される。

(山本千菜美、平川容子)

(イタリア、中国)

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