第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム開催、8項目の行動指針を提唱

(中国、ロシア)

北京発

2023年10月24日

第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムが10月17~18日(注1)、「質の高い『一帯一路』を共に建設し、協力して共同の発展・繁栄を実現」をメインテーマに中国・北京市で開催された。中国外交部の発表によると、2013年の「一帯一路」構想の提唱から10周年となった今回のフォーラムには151カ国、41の国際機関の代表が参加した。

習近平国家主席は18日の開幕式で、中国は現在、中国式現代化による強国建設と民族復興という偉業を全面的に推進しているが、中国が追求していることは中国単独による現代化ではなく、開発途上国を含む各国と協力し、共に現代化を実現することだと述べた。また、「一帯一路」の質の高い共同建設に向けた8項目の行動指針(注2)を発表した。

8項目には、アジアと欧州の新たな物流ルートの構築や、シルクロード電子商取引協力先行区の創設、製造業における外資規制の全面的撤廃などが挙げられている。さらに、高水準の国際経済・貿易ルールをベンチマークとし、貿易と投資のハイレベルの開放を推進するとともに、デジタル製品の市場アクセスを拡大し、国有企業、デジタル経済、知的財産権、政府調達の分野における改革を深化させるとしている。そのほかには、太陽光発電に関する対話交流メカニズムの創設などグリーン分野での協力の継続的深化、政府系金融機関における人民元融資窓口の新設やシルクロード基金の増資による「一帯一路」プロジェクト支援などが挙げられた。

さらに、18日には3つのハイレベルフォーラムと6つのテーマ別フォーラムが開催され(注3)、実務協力プロジェクトリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注4)とマルチ協力成果文書リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注5)が発表された。

また、同日に習国家主席はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談した。習国家主席は、プーチン大統領が本フォーラムに3回連続で出席しており、これは「一帯一路」構想の共同建設に対するロシアの支持を反映しているとし、ロシアは「一帯一路」構想における重要なパートナーだと述べた。プーチン大統領は、多くの主要な問題について両国が綿密な意思疎通を図り、得られた共通認識は真摯に実行していくべきとし、中国との協力の上でBRICSなど多国間メカニズムでの意思疎通と協力を強化し、国際法に基づく国際システムを守り、より公正で合理的なグローバルガバナンスシステムの確立を促進すると述べた。

なお、同フォーラム開催に先立つ10月10日には「『一帯一路』の共同建設:人類運命共同体構築の重大な実践」と題する白書が発表され、「一帯一路」構想の成果をアピールしている(2023年10月16日記事参照)。

(注1)10月17日には関連のビジネスイベントおよび歓迎宴が、18日には開幕式およびフォーラムの各会合が行われた。

(注2)8つの項目は、「一帯一路」構想に沿った立体的相互連結ネットワークの構築、開放型世界経済の建設支援、実務的協力の展開、グリーン発展の促進、科学技術イノベーションの推進、民間交流の支援、清廉な「一帯一路」の建設、「一帯一路」国際協力メカニズムの改善。なお、「一帯一路」国際協力メカニズムの改善においては、「一帯一路」参加国とさまざまな分野での多国間協力プラットフォームの構築を強化し、フォーラム事務局の設置および「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムの継続開催を提唱している。

(注3)3つのハイレベルフォーラムは、相互連結の深化と開放型世界経済の建設、グリーンシルクロードの共同建設と人と自然の共生推進、デジタル経済の発展と新たな経済成長の原動力の発掘。6つのテーマ別フォーラムは、貿易の円滑化、海洋協力、クリーンシルクロード、シンクタンクの交流、人的交流、地方協力。

(注4)7分野369項目の実務協力プロジェクトリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは主に、各国・地域と結んだ開発に向けた行動計画や開発協定、中国による融資プラットフォームの設置、民生面での協力プロジェクトなどが挙げられている。

(注5)5分野89項目のマルチ協力成果文書リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは主に、各フォーラムや政府間協力プラットフォームで発表されたイニシアチブや声明、民間部門での協力の成果、2023年から2024年にかけて開催済み、または開催予定の国際会議などが挙げられている。

(亀山達也)

(中国、ロシア)

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