世界銀行、2023年の南アジア地域の経済成長率を5.8%に下方修正

(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ)

調査部アジア大洋州課

2023年10月13日

世界銀行は10月3日に発表した「南アジア経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、同地域(注)の2023年の実質GDP成長率を5.8%と予測し、前回(2023年4月)の見通しから0.2ポイント下方修正した。

南アジア地域は新興国地域の中で最も高い成長率が見込まれているが、下振れリスク要因として、(1)財務のもろさ、(2)中国経済のさらなる減速、(3)気候変動による自然災害の増加などを指摘した。

マーティン・レイザー南アジア地域担当副総裁は「南アジア地域全体は堅調な成長を続けている一方で、財務リスク管理が急務」と述べ、民間投資拡大や脱炭素化社会に向けた世界的なエネルギー転換の活用など、成長加速のための方策の必要性を強調した。フランチェスカ・オンソージ南アジア地域担当チーフエコノミストは「世界的なエネルギー効率の改善は、南アジア地域の環境や経済での成長機会になる」と指摘した。

各国経済成長率の見通しについては次のとおり(詳細は添付資料表参照)。

  • インドは、2023/2024年度(2023年4月~2024年3月)にかけて6.3%と予測。
  • モルディブとネパールは観光産業の力強い回復により、それぞれ6.5%(2023年)、3.9%(2023/2024年度)に伸長すると予測。
  • バングラデシュとパキスタンは直近の通貨危機の影響が残っており、5.6%(2023/2024年度)、1.7%(2023/2024年度)と予測。
  • スリランカは深刻な不景気からの回復の兆しが見られ、2024年に1.7%の経済成長を見込む。

(注)インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブの7カ国。アフガニスタンは統計が得られていないため対象外。

(深津佑野)

(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ)

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