フィンランド地質調査所、AI活用の鉱物資源図の開発を発表

(フィンランド)

ロンドン発

2023年11月13日

国家研究機関のフィンランド地質調査所(GTK)は10月13日、トゥルク大学やフィンランド環境研究所(Syke)などとコンソーシアムを形成し、人工知能(AI)を利用した鉱物資源図の開発を強化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

フィンランドでは2023年7月1日から2025年12月31日まで「AIMEX(Artificial Intelligence in Mineral Exploration)」というプロジェクトの下、国内の研究機関や企業が国際的なパートナーと協力し、鉱物資源図の開発に取り組んでいる。機械学習を活用し、鉱物評価、経済効果、自然保護区域、土地利用制約など、さまざまな観点から分析することで、持続可能性に特化した鉱物調査のためのシステム開発を目指している。また、このアプローチにより、環境・社会・ガバナンス(ESG)をより考慮した責任ある鉱物調査が可能となるとしている。

同コンソーシアムはAIMEXプロジェクトの一環として、同国の政府系機関ビジネスフィンランドから560万ユーロの資金提供を受けている。この資金提供によって、重要なステークホルダーとの協力を可能とし、採掘技術向上の機会を維持することで、EU域内の重要原材料部門の成長を確保するとしている。

フィンランドは、バッテリー用金属の採掘と加工の拠点としても浮上してきている(2023年1月31日記事参照)。

国有の特別目的会社フィンランド・ミネラル・グループは10月30日、バッテリー用部品に重要な役割を果たすレアアースを含有するクカレンコイトとコージライトを発見したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。両鉱物がフィンランドで発見されたのは今回が初めて(注)。

両鉱物が発見されたソクリ鉱床では、電気自動車(EV)や再エネ発電設備向けの永久磁石を作るために欧州で毎年必要とされるレアアースの少なくとも10%が生産可能とされている。引き続き2024年にかけて鉱床の特性評価や鉱石処理試験が行われる。

(注)フィンランドの鉱物資源生産量については添付資料表参照。

(半井麻美、松丸晴香)

(フィンランド)

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