EU、域内公的サービスのデジタル化の相互運用性を強化する法案で政治合意

(EU)

ブリュッセル発

2023年11月24日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は11月13日、EU域内の国境を越えた公的サービスの相互運用性を強化する規則案に関して、暫定的な政治合意に達したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この規則案は、域内の国境を越えた公的サービスの円滑な提供を実現すべく、加盟国当局間の新たな協力枠組みを設定するものだ。EUはデジタル化の一環として、公的サービスのデジタル化に注力している(注)。加盟国は公的サービスに関するデジタルインフラ整備をそれぞれ進めていることから、規則案は加盟国間の協力を強化することで相互運用性を確保する狙いがある。規則案は、欧州委が2022年11月に提案したもので(2022年11月25日記事参照)、今回の合意は欧州委の提案におおむね沿ったものだ。EU理事会と欧州議会による正式な採択を経て、施行される見込み。

今回の合意によると、規則案は、加盟国のほか加盟国内の地域や都市などが参加する公的サービスの協力枠組みの欧州相互運用性会議(IEB)を設置。オープンソースソフトウエア、指針、チェックリスト、ITツールなど、相互運用性を有するソリューションの加盟国間での共有や再利用を促進する。また、加盟国が新たなITシステムを導入する際には、相互運用性に関する影響評価を実施することを義務付ける。今回の合意した条文案は現時点では公開されていないものの、欧州委の提案どおり、全加盟国に対して一律に適用される相互運用性の規格などを規定するものではないとみられる。

一方で、今回の合意によると、両機関は規定する法案の射程や相互運用性に関する影響評価の目的と条件をより明確にしたほか、協力枠組みの中心となるIEBの役割を強化するなど、欧州委提案の修正も行った。

(注)EUのデジタル化政策の詳細は、ジェトロ調査レポート「復興基金と主要加盟国のデジタル政策 EUデジタル政策の最新動向(第4回)」(2023年3月)を参照。

(吉沼啓介)

(EU)

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